集英社 コバルト文庫 2000年09月
あらすじ
怨霊が神として祀りあげられている御霊、その御霊を管理している御霊部。奈良時代より存在しているが、今では人材も少なくなっていた。
その御霊部の一人である飛鳥井柊一は、御霊部の長老、籠目善衛に安内市の五郎神社へと向かうよう命令される。
高校生の柊一は夏期講習を欠席し、二十年に一度調査しなければならないという五郎神社へと向かうが、途中で2人の女子高生と出会う。
街を見学していると、船山高校にある森から霊的な何かを感じ、足を踏み入れてしまうが熱射病になりダウンしてしまう。偶然助けてくれたのは御霊部と非友好的な文化庁文化財保護部特殊文化財課、通称ヤミブンのメンバー楠木誠志郎だった。
ヤミブンも別件で安内市を訪れており、キリシタンの鈴を依頼者より受け取りに来ていた。
そんな時、五郎神社の宮司が行方不明となった。柊一はその行方を捜すが神社の地下のさらに下へと転落してしまう。
そして五郎神社に来ていた女子高生、熊谷早紀子と吉野萌も穴から落ちてしまう。
その柊一を探すため同じく御霊部のメンバー多野雅行は霊感の強さを見込み、誠志郎に応援を頼む。
感想
「闇に歌えば」の登場人物、飛鳥井柊一が主人公の話です。あちらでは大事な鈴をカレー漬けにされたりと、なかなか笑えるキャラだったのですが、さすがに主人公になったのでそんな悲惨な出来事からは解放されています。
「闇に歌えば」の主人公、楠木誠志郎も登場します。役割が逆転した感じですね。
「闇に歌えば」は1話完結の話が多かったのですが、これは一つの事件がずっと続いています。なので、誠志郎の登場も多く、「闇に歌えば」が好きな人にもおススメできます。
ただその「闇に歌えば」の話なんかが出てきているので、「聖霊狩り」しか読んでいない人は少し分からないところがあるかもしれません。気にせず読めることは読めますが、読んでいる方が倍楽しいのではないでしょうか。
その二人を差し置いて異彩を放っているのが吉野萌。頭の中がボーイズラブの話で一杯とは。強烈なキャラクターです。誰をどうくっつけようが本人の頭の中では勝手なのですが。
そんな事を書くと、コメディっぽく思われるかもしれませんが、軸は「闇に歌えば」みたいですし、柊一と誠志郎の掛け合いも面白です。