花田一三六 蒸気と錬金

おススメ度 6

早川書房 ハヤカワ文庫 2021年02月

あらすじ

売れない、儲からない小説家の「私」は旅行記を書くため、蒸気錬金術が発展を遂げている大英帝国と違い、生まれながらに恩寵と呼ばれる力を有し理法を駆使する人々が住む島アヴァロンという国へと行くことになった。

アヴァロンへ向かう手配をしていると、スミスという紳士に声をかけられる。

スミスより道中の記録や話し相手にもなってくれる蒸気錬金式幻燈機を生み出せる「帽子」の購入を勧められ、「私」は初めての「帽子」を手に入れる。

「私」が手に入れた「帽子」の幻燈種は四枚の翅翼をもつ、十代の少女の姿をしたポーシャだった。

感想

花田さんの久々の新刊。

蒸気と錬金書いてあるから、水蒸気あふれるスチームパンク的な感じなのかなと思ったらそうでもなく、アヴァロンに着いたらファンタジー的になるのかなと思ったら、そこまででもなくといった感じでした。

戦塵外史よりは、創生の契約シリーズのような印象です。

文章自体は、海外小説を翻訳しような感じかな。戦塵外史は歴史を現代文にしたという感じでしたが、文章としては蒸気と錬金の方が読みやすいのではないかと思います。

ただ、私は戦塵外史の文章の方が好き。

 

それなりに長いのですが、主人公とポーシャの掛け合いのテンポがいいのでサクッと読めます。

が、サクッと読んでしまったからか、結局巻き込まれたのだとはわかっても細かいところが分からない。

「私」の一人称視点だからかな?

良くも悪くも、今風の小説という感じです。

 

終盤、せっかっく散りばめられていたキーワードが出てきたのに、起承転結の結が短い。

ここがもっと詳しく読みたかったです。

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