花田一三六 戦塵外史 五 戦士の法

おススメ度 7

ソフトバンククリエイティブ GA文庫 2010年06月

あらすじ

「わたしの足手まといにならない者を、用心棒として雇いたい」
少女は口入屋で、腕は立つが無口な男を雇った。
互いを「小娘(シャール)」「大男(ガーヴ)」と呼び、シャールを狙う追手から逃げつつ目的の地を目指す。
その目的すらも少女は口にしないが、男は黙々と少女と同行する。

やがて二人の前に双剣使いのアルザーンが立ちふさがる、薬売りのゼシュトの助けもあり何度か逃亡に成功するシャール達。
決して自分を見捨てない男に、少女は本当の目的を告げるが、少女の逃亡劇には更に別の思惑が絡んでいた。

感想

花田さん節です。作者が書いている通り古典的な手法で書かれており、今まで以上に読者の好き嫌いが分かれるのではないかと思います。

私は読み出したら止まらず一気に読み切ってしまいました。
単に逃亡劇ではなく、そこでシャールが「見た」事が重要なのです。
「剣術指導官」の娘という立場から見る傭兵の行動。それがこの「戦士の法」が作中にてピックアップされた原因なのかもと思います。

相変わらず大きな世界観のほんの片隅の出来事ですが、(といってもセヴェロスなど他の面々の名前も出てきますが)よくよく読めばこの名前はどこかで読んだ事がある。
と、シリーズを通して読んでいる人にはニヤリな小説です。ただ刊行スペースが遅いので、詳細を忘れてしまうのが難点ですが。

伝記を現代に訳しているという手法からか、全体的にコンパクトにまとまっているという印象を受けます。
最後の「解説」はドキドキして読みました。
シャールの目的の結果、そしてガーヴの過去、読み応えの割に直ぐに読める上、これだけでも読めるので(基本的にこのシリーズはどこから読んでも大丈夫です)おススメです。

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