ジーン・M.アウル 大地の子エイラ(下) 始原への旅だち第1部

私のおすすめ度 8

評論社 評論社文庫 1988年06月

あらすじ

難産の末、息子を産んだエイラ。しかしその子は身体的には問題はなくとも、全体的な形が異様に思われた。
リーダーのブルンを激怒させる事もあったが、クレブの意見もあり、その子はデュルクと命名され、一族へ受け入れられた。

ハーフゆえに、見た目は変わっていても何も障害のないデュルクは、順調に成長していく。
そして体の弱ってきたイザの代わりに、まじない女としてエイラは七年に一度の氏族会へと向かった。
何とかイザの代わりを務め、そしてデュルクにそっくりな女の赤ちゃんとも出会え、デュルクのつれあいの心配も消え洞穴へと戻るエイラだが、そこには弱り果てたイザが待っていた。
手当ての甲斐もなく、ブラウドがリーダーになったらここを去る方がいいと遺言し、イザは永遠の眠りについた。

イザよりも高齢のクレブやブルンも老いを感じ始め、自分の地位を退く決意を固める。
そしてとうとうブラウドがリーダーになった時、エイラへの復讐のため、その権力を振るった。
ブラウドにリーダーを譲ったのは間違いだったと、ブルンが気づくも遅く、再び洞窟を地震が襲う。
一人洞窟の奥にいたクレブは亡くなり、すべてをエイラのせいにしたブラウドは再びエイラに死の呪いをかけ、一族から追い出した。

感想

第一部完結です。
ここまでノンストップで読めました。まじない女として、やっと一族に馴染んできたのに、待っていたのはリーダーとなったブラウドの復讐でした。

そんなプラウドに対し、ブルンは息子の見る目のなさを除けば理想的なリーダーとも言えるかもしれません。
一族の事を一番に考え、ある程度柔軟な考えも見せ、決して独りよがりな判断を下さない。
そんなブルンが引退し、激情のまま権力を振るったプラウド。エイラが一族を離れてからはこのプラウド達は少なくとも第四部までは登場しないので、とても気になります。と、数年前に書いたのですが、最終巻まで読んだので疑問は解決されました。

ハーフと言う概念がない一族で、両方の特徴を備えたデュルク、同じ姿のユラと言う赤ん坊の母親から、この子達はエイラのような姿の人間と、イザたちのような姿の人間のハーフだと教えられます。その結果、父親がブラウドだとも気づきますが、どうにも父親と思える相手が一人でも、まだ子供が授かったのは男のトーテムに自分のトーテムが負けたからという考えからは抜け出せません。
おそらくそんな部分も作者の想像の所が大きいのではないかと思いますが、あまりにも物語がしっかりと書かれているので、この時代は本当にエイラ達の様な考えを持っていたのではないかと思わせられます。

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