紅玉いづき MAMA

私のおすすめ度 7
アスキー・メディアワークス 電撃文庫 2008年02月

あらすじ

「MAMA」
ガーダルシア王国を支える魔力をもつ「サルバドール」の一族。
その中で「生粋の」サルバドールだが、潜在的な魔力が低く「サルバドールの落ちこぼれ」と呼ばれていたトト。
自分の不甲斐無さに家を飛び出したトトは神殿の書庫の奥へと迷い込む。
そこには昔、相手が魔よけの耳飾りを付けていたため、耳だけを喰う事が出来なかった人喰いの魔物が封じられていた。
その魔物の問いかけに答えてしまったトトは、耳をその魔物に食べられてしまう。
耳を失ったためサルバトールを追い出されかけたトトは、再度魔物を訪ねる。
かつて自分が喰った人間「アベルダイン」の名に縛られる魔物はトトより「ホーイチ」の名を与えられ、封印より解き放たれた。トトは両耳を失った変わりに強い魔力を持った魔物を手に入れたのだ。
そして彼女はホーイチのママになると誓う。

魔物と契約をしたことで、トトは神殿の授業へと再び戻ることになった。分不相応な力を手に入れたトトに周りの状況は一変する。

十年が過ぎ、子供の姿をしたホーイチと外見上本当の親子に見えるようになってきたある日、耳を失った変わりに手に入れた、どんな言語も聞き分け解する耳を手に入れていたトトに、外交官の話が持ち上がる。

その特殊な耳により天国の耳(ヘブンズ・イヤー)と呼ばれるトト。そして、時折身辺を狙われるトトを守り続けるホーイチ。
外にあまり目を向けず、互いだけの生活が続く日々の中、トトは市場で一人の少年ゼクンと出会う。
トトの心を占めていくゼクンにホーイチは悲痛な叫びを上げる。
しばらく影に封じ込められるホーイチだが、呼び出されたのはトトを守ってゼクンが傷を負ったときだった。

そして命が消えかけていくゼクンに、ホーイチは一つの賭けを持ちかける。

「AND」
ガーダルシアの王城へと忍び込んだダミアンはある耳飾りを手にする。王の妹ティーアンに見つかるが、その耳飾りを手にしているダミアンに、彼女はそれを持ち主に返してほしいと依頼する。

その耳飾りを売ってしまおうとするダミアンだが、自然とその耳飾りは自分の元へと戻ってくる。
仕方なく、血のつながりはないが同じ孤児院から逃げ出してきた妹、ミレイニアと共に持ち主を探し旅に出るダミアン。

途中、時折見る夢の中で、その耳飾りの持ち主が、かつて人喰いの魔物に喰われたアベルダインの物だと知る。そしてそのアベルダインが唯一従った魔術師を探しに旅を続ける。

感想

最初表紙を見ただけでは紅玉いづきさんの本とは気づきませんでした。前作「ミミヅクと夜の王」とは全然違う表紙にまず驚きました。
あまり好みの絵ではなかったのですが、紅玉さんの本だと思い手に取るとやはり面白い。
小説自体は前作の雰囲気を残しています。

前作もそうでしたが、本当にストーリーが良い。そして文章がどことなくかわいらしい。雰囲気と合っています。
ホーイチがトトをママと呼ぶ関係、それが十年たっても変わらずにいたのに、一つのきっかけからほころび始めます。そのあたりも雰囲気を崩さずきれいに書かれてあります。
そして最後のホーイチが嫌っていたゼクンとの賭け、それを持ちかけるほどにトトにとってのママの関係が重かったのでしょう。

ANDは後日談。ストーリー云々よりも補足的な感じがしました。旅をする二人よりアベルダインの過去の方がメインのように感じました。

前作同様、童話のような優しい作品です。

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