高瀬彼方 ディバイデッド・フロント 2 僕らが戦う、その理由

おススメ度 9

角川文庫 角川スニーカー文庫 2004年05月

あらすじ

共生憑魔との戦いで療養生活をしていた土岐だが、とりあえず問題ない程度には回復したため、生駒小隊に復帰する事になったが、迎えに来た楢崎が向かった先は、嘘八百の自衛隊のPRビデオの撮影現場だった。
その監督をする進藤未来二等陸尉、彼女は悪意のない探究心を持ち、宣伝効果だけを狙ったビデオや、経験した隊員にとって禁忌と言うべき駐屯基地が壊滅した「朝霞事件」の話題にも触れてくる。
その「朝霞事件」では赤帽子、レッドキャップと呼ばれる上級種の憑魔が目撃されていた。

一方、芹沢小隊より応援の要請があり、生駒、楢崎、土岐は3人で現場に向かうが、途中憑魔に襲われる。その憑魔は知性の低いはずの昆虫タイプだったが、何故か包囲戦術を用いて襲ってきていた。
不自然極まりない状況に、生駒は一旦駐屯地に戻り、人手を確保しようとするが、そこでレッドキャップを目撃する。

また、撮影現場でも憑魔に襲われていた。
牙蛙に襲われる進藤を助けるため、宮沢は「M9」を手に戦う。

何とか牙蛙を振りきり、土岐たちと合流できたが、その場所にはいるはずの一人がいなかった。

感想

とりあえず羽部さんがかっこいい。
序盤に「朝霞事件」が書かれてますが、そこで筒井を助けに来る羽生さん。
これがとってもかっこいい、女性なら一度は読んでと言いたくなります。
といっても、小説自体は女性男性どちら向けでもあります。
前半は駐屯地でのPRビデオの撮影ですが、進藤という戦闘とは離れた隊員により新たな目線で隔離戦区の戦い方を見ることができます。
分かったつもりでいる、理解したいと思う、進藤を読んでいて、途中までこの人はこの戦いの事を真剣に考えているんだ、と思っていました。
真剣に考えてはいるのでしょうけど、それは戦っている人たちとは違う感覚です。
筒井の言葉と前線に立つ人たちの考えを聞き、深く考えさせられます。

そして筒井は土岐を好きな宮沢を応援します。少しずつ勇気を出し始めている宮沢、それに気づきながらも土岐をからかう事を止めない楢崎。
このあたりの言い争いも見ものです。

そして生駒小隊に助けを求めてきた芹沢小隊で、一人生き残った桐嶋秋。
たった一人生き残った事、他の隊員が犠牲になった事を分かっている桐嶋の立場、後半はぐっと重い展開になります。

高瀬彼方 小説一覧へ

作者一覧へ

タイトルとURLをコピーしました