六道慧 小説一覧

[千の顔を持つ男]
ブロッケンの妖怪/アルビオンの死の木/カドケウスの杖/ピンジュラーの鏡/モルガナの鬼
[蝶々夫人の事件簿]
(1) (2) (3)
[ダイナマイト刑事]
ダイナマイト刑事/殺人定義/月光遊戯/硝子白書/聖夜艶舞

ブロッケンの妖怪 千の顔を持つ男1

おススメ度 8

角川書店 カドカワノベルズ 1993年10月

日本とイギリスのハーフ、女たらしだが喧嘩の腕は抜群の木杜カイン。容姿端麗、頭脳明晰だが、運動はからきしの土門摩利。
表向きはイラストレーターだが、裏では巫子と降士のコンビ「縁切屋」。

男二人で住んでいるのであらぬ噂が流れているが、いたってノーマルな二人。

世間では処女が妊娠するという「マリア」騒動がニュースが流れていた。
そして裏の仕事を片付けアパートに戻ると、カインの子供だという手紙と共に、赤ん坊が置き去りにされていた。

その手紙の主スワンに覚えがないカイン、実際に見に覚えのある人物を探そうとするが、そのうちの一人が「マリア」事件でテレビに出ていた。

さんの本を久しぶりに読みました。面白い小説の作者と言う認識は持っていたのですが、この本を買った最大の理由は挿絵が小林智美さんだからからです。
単純な理由で買いましたが、これが大当たり。面白かったです。

主人公二人の掛け合いが面白い。内容は霊退治物ですが、どちらかというと推理的な面が多いです。私は推理物が苦手ですが、そこはさん。やはり上手い。

どちらかというと女性向ですが、二人に最近の風潮は期待しないほうがいいです。

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アルビオンの死の木 千の顔を持つ男2

おススメ度 8

角川書店 カドカワノベルズ 1994年06月

カインは摩利と縁切屋の仕事へ向かうため、待ち合わせの場所へ向かう最中、姫子という女性を助ける。

遅れると連絡の付いた一件目の依頼場所へ行ってみると、そのビルで怪奇現象を起こしていたのはクスノキの木のせいだった。
連絡の取れなかった二件目へと向かうが、すでにその依頼者は死亡していた。
依頼者は、大人気ロックバンド〈MAO〉のギタリスト沖田堯士で、しかもその遺体は体中の血がなくなっていた。

その沖田が亡くなる前日、同じバンドのボーカル高早アヅミが狙われていると告げていた。

妙に絡むアヅミに多少辟易するカインだが、摩利が降ろした霊に振り回されたあげく自分ではなくアヅミに霊が入ってしまう。

更にバンドのメンバーがもう一人沖田と同じ状態で死亡し、切り札の霊さえもアヅミに入ったまま。
そして姫子も度々助けを求めにくる。

1巻目より女性向けでしょうか。

「千の顔を持つ男」は登場人物が満遍なくストーリーに絡んできます。ちょい役もいますが。登場人物が読みながらだいたい頭に入るっというのは重要だなと思います。。

やは面白かった。昔六道さんの小説を読んだ時も思いましたが、セリフの言い回しが好きです。それが、色々な小説を読んだ中で六道さんは面白い小説の人と思った原因かもしれません。

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カドケウスの杖 千の顔を持つ男3

おススメ度 8

角川書店 カドカワノベルズ 1995年01月

女優の山本緋紗子から縁切屋の依頼を受けた二人は、途中新興宗教に勧誘される。
可愛い少女達だったのでカインが付いていくと、突如UFOが現れ、その少女の一人が「聖像」となってしまった。
そして神の奇跡だとう〈ARAKA〉の集団によって彼女は天主様の運ばれていく。

緋紗子の方でも一度寝ると、起こされても起きれない状態に悩まされている。
それでも舞台へ出演する緋紗子だが、共演者はあのアヅミだった。

前回で散々カインを振り回したアヅミが再び登場します。

相変わらずテンポがいい、切り札の降霊も相変わらず失敗す所ろもパターンですね。
今回は摩利の高所恐怖症が遺憾なく発揮されています。こういう微妙な笑いが好きです。

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ピンジュラーの鏡 千の顔を持つ男4

おススメ度 8

角川書店 カドカワノベルズ 1995年08月

摩利が恋をした。カインを放ってずっと家を空け、その間にアヅミと前回の依頼者山本緋紗子の娘、讃良が入り浸る毎日にうんざりするカイン。

摩利の恋の相手は縁切屋の依頼者、競馬王の娘星野ナギサ。だが、彼女はカインに一目惚れしてしまう。
そして彼女の周りでは目を奪われたり、飼い犬に襲われたりと奇怪な事件が続く。

摩利のように美形だけど欠点も多いな人物。こういうキャラのセリフを上手く書ける作者って好きです。なんともいえない微妙なバランスのセリフにニヤリと笑みがこぼれます。
しかも不幸なパターンが多いですよ、今回のナギサさんみたいにただカインを好きになるだけじゃなく、実は、という展開です。

今回も降ろした霊チェーザレにも好き放題体を乗っ取られ、物語自体は真面目路線なのですが、なんか笑えてしまいます。

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モルガナの鬼 千の顔を持つ男5

おススメ度 8

角川書店カ ドカワノベルズ 1996年03月

摩利とカインは、続けて緑の幽霊を見たので調査をしてほしいという依頼を受ける。

そして、立て続けに友人が電車に飛び込み自殺をしているという、高名な能楽師の御曹司鷹宮清人の依頼を受けに行った時、ちょうど友人の一人が電車に飛び込むところに居合わせる。
何とか引き止めたと思ったカインだが、友人はカインをすり抜け電車に轢かれてしまう。

事件解決のために霊を降ろそうとする摩利だが、今回はすんなりと安倍晴明の霊が降りてくる。だけではなく、晴明の母の霊まで呼び出してしまいう。彼女を呼び出してしまったせいで、自体は更にややこしくなってしまう。

事件の謎を解くため自殺の場所を八卦で見た摩利達は、エネルギーの先が鷹宮能楽堂にあると気づき、調査を開始する。

だんだん摩利とカインの会話が危なくなってます、カインが引くくらいに。女の私は読んでて楽しいですが。
今回もカインには災難が降りかかります、能楽師親子やら晴明の母やら。
なんだかんだで絶妙のカインと摩利のコンビですが、いったんここで終わりです。

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蝶々夫人の事件簿(1)

おススメ度 5

中央公論新社 C・novelsfantasia 1996年01月

花村蝶子は博打現場に踏み込まれ警察を辞めるハメになり、同じく警察の夫の協力もあり探偵を始める。
そこに破格の値段で兵頭政志の娘を探して欲しいという依頼がやってきた。
娘の瑛子の写真を見ると、以前桜花病院で見た奇妙な霊と同じ顔だった。

蝶子にはスメル・リーディングという力があり、その場に残された残留思念から死者そのものを出現させる力がある。

そしてその病院で再会した高校の同級生の高橋由美。彼女は心臓病で死亡し、解剖された娘の死亡診断書をもらいに来ていた。
しかしその娘の遺体が何者かに盗まれた。

蝶子は病院を調べるうちに馬淵巴絵と言う女医から、他にも解剖された少女の話を聞かされた。

まず思ったのは挿絵と文章の人物のイメージが合わない。
主人公蝶子はともかく、夫の伊知郎がハンサムな設定だと分かっていても、どうにも性格と合っていない気がします。絵がなんかかっこよすぎる感じがします、あの顔からあの性格は想像できません、いい意味で。

結構病院で会った霊の描写が怖かったです。

ただ私には少し謎が複雑な感じがして、苦手な推理物だと言うこともあるのですが、結論は決して難しくないのですが、その過程を読むのがどうにも苦手です。

蝶子は姉御肌でものすごく夫が愛してますね、その辺の話は面白かったです。

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蝶々夫人の事件簿(2)

おススメ度 5

中央公論新社 C・novelsfantasia 1996年07月

花村蝶子の夫、伊知郎に憧れ、自分も刑事になった松平姫香。
彼女からオスの三毛猫の捜索を依頼されるが、あと少しのところで逃げられてしまう。
ちょうどその時、万引きをした中学生二人組みを見つけ、昔の職業柄捕まえる蝶子。
姫香も現れ二人を連れ、ラーメン屋に入ると、そこで(・・・アイシテ)という小さな声が聞こえた。

捕まった中学生、中根美帆と丸山恵理。両親から大した咎めも受けず、再び会っていると、恵理の前に不自然な輪が現れた、その輪はいつも美帆の前に現れ、この輪が現れると空腹が襲ってきていた。
その輪から逃げ出すため美帆は恵理、そして迷い込んだ三毛猫を連れた美帆の妹真帆も外へ出かけた。
妹の真帆と別れた美帆たちはファーストフード店に入るが、美帆はまた財布にお金が入っている事に気づく。

美帆たち、そして二人を追いかけていた蝶子の周りで、大量の光りの輪が発生した。

伊知郎の弟小次郎や、伊知郎の幼馴染の姫香など、一風変わったキャラが増えました。
伊知郎兄弟、黙っていれば普通の二枚目なのに、どこかが飛んいます。

1巻目に比べ、メインが少女達だからかもしれませんが事件は不思議な印象が強かったです。
ですが、後味は前回同様それほど良くないです。事件だから仕方ないのですが。
この問題自体はどこかの家庭にありそうな感じで、この本は発売が10年以上前なのに、世間はちっとも変わってないなと思ってしまいました。

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蝶々夫人の事件簿(3)

おススメ度 5

中央公論新社 C・novelsfantasia 1997年01月

蝶子の元に2件の依頼が舞い込んだ。
一つは自分の息子の後をつけて調査して欲しいというもの。
かなりの美少年にやる気の出る蝶子だが、息子が入ったビルで会っていた若い美青年は、突然年老いて消えてしまった。
しかもその息子は依頼主の子供でなく、家族は依頼すらしていない事が分かった。
もう一件の畑五十鈴の依頼は、孫娘の愛里身辺調査の依頼だった。
彼女は夫との会話もポケベルで行うような細菌恐怖症だった。

そしてその周りでは子供、若い夫婦などが突如奇怪な行動に出始めていたが、蝶子のスメルは何も反応を示さなかった。

蝶々夫人の事件簿完結です。
蝶子の周りで奇怪な事件が起き始め、伊知郎の弟は女装を始め、姫香は信夫に惚れたと思ったら蝶子に興味が移りと、どちらかと言うと同性に襲い掛かる事件が頻発します。

そしてポケベル夫婦。今だとメールですね。ポケベル全盛期を知らない人もいるかもしないので少し説明すると、文字数が制限された受信専門のメール機のような感じでしょうか。学校の休み時間とかは公衆電話に長蛇の列が出来たくらい流行ってました。
携帯が出てきてからはぴたりと治まりましたが。

お互いを愛しているけれど、女は細菌恐怖症で、更に夫はエリートコースを歩んできたので、どう妻に接していいか分からない。
そんな夫婦に蝶子の夫、伊知郎が自分も蝶子に会わなかったらと思いを馳せます。
仕事をやめたいとぼやいていた伊知郎ですが、最後に蝶子を守るため必死で警察を動かします。
なんだかんだと妻を守るために必死になる姿は、どんな小説を読んでいてもいいものです。普段がのほほんとしてるので尚更です。

事件解決の鍵も夫婦の愛です。もう一つのキーワードは最初に出てきた美少年。
3作品の中では一番面白かったです。

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ダイナマイト刑事(1)

おススメ度 6

中央公論新社 C・novelsfantasia 1996年05月

マッチョでゲイの刑事、松田洋平と、美貌の天才肌の刑事、池端玲二は事件の通報を受け現場に急行すると、そこには局部を切り取られ口に突っ込まれたまま殺されている男性の死体があった。
その男の背景を捜査していると、ある女性が浮かび上がる。

そして不思議な雰囲気を持った森日出海と出会い、捜査は佳境に詰めていく。

「千の顔を持つ男」が面白かったので買ってみたのですが、主人公がゲイですか。
今まで六道さんの本は富士見ファンタジアくらいしか読んだ事がなく、その内容が(シリーズによりますけど)キツイ、重い、あまり主人公が報われない、という作家のイメージだったので、こういう明るいノリにはびっくりしました。

ただ「千の顔を持つ男」もそうですが(こちらは女運がないだけでしたが)ゲイの立場を一歩引いたところから、おおっぴろげに書いている感じがするので、それなりに読みやすいです。

ミステリーと言うか推理物は苦手なので、この手のものはストーリーをしっかり追うのではなく、雰囲気を流し読みしてしまうので、ダイナマイト刑事はそれほど難解でもなく、「ああ、そうなのか」と何とか理解できる内容で面白かったです。

ですが、そこかしこに女性向けネタがちりばめられているので、こういうのを笑って読める人でないと読みにくいかもしれません。おおっぴろげに書いてあるので少々露骨な時もありますし。
これが本当にそこに重点を置いてかかれてあったら、私もきっと読まないと思います。

内容はさらっと一気読みできて、文章に耐えられるなら面白いです。

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殺人定義 ダイナマイト刑事2

おススメ度 6

中央公論新 社C・novelsfantasia 1996年11月

外国人のコールガールばかりを狙う傷害事件。取り逃がした犯人の一人を都知事の娘、須藤彩音と突き止める松田洋平と池端玲二。

しかし、都知事宅に爆弾が送りつけられる。負傷した息子に触れることもしない母親。
捜査を終わらせようとする都知事に、二人は退くことなく捜査を続ける。

人と人が絡み合って絡み合って、という事件でした。加害者の須藤彩音、そしてその過去。
外国人売春に絡む問題。10年前の作品ですが、今でもなんら変わらないような気がします。

テーマは重いですが、二人の活躍は相変わらず、そこが物語の雰囲気を和らげています。
女性の身では少々辛い話の展開です、でもこれは話だけではなく、実際にあるのかもしれないと思える話でした。

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月光遊戯 ダイナマイト刑事3

おススメ度 6

中央公論新 社C・novelsfantasia 1997年05月

水槽が並ぶ部屋の中、両手を縛られた行員の女性が一人死んでいた。その死体の両手は、最近続いている「雨の絞殺魔」の縛り方と似ていた。

雨の絞殺魔の被害者を調査するうちに、一人の男性が浮かび上がる。

池端玲二の母親が出番が少ないわりに強烈でした。息子に松田洋平との結婚を勧めてどうする、と内心つっこみながら読んでました。

ネタとしては売春が絡んできますので、嫌いな人はご注意を。そもそもこのシリーズを読んでいる時点で、そんなことを気にする人はいないですよね。
相変わらずさっと読みやすい作品でした。

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硝子白書 ダイナマイト刑事4

おススメ度 6

中央公論新社 C・novelsfantasia 1997年11月

人事関係に携わっていた人間が次々と襲われた。人員を削減していく会社から放り出された人間。
「心の110番」にかかってきた電話、自らをジェイソンだと話す青年。

松田洋平と池端玲二は、「生真面目な狂気」を目にする。

今までの中で一番心にずしんと来る話でした。
そんな重い話なのに、池端は松田に迫りまくってましたが。
表紙も買いにくいです、表を向けて買う勇気がありませんでした。裏も裏で微妙ですけが。

ストーリーは現代社会のサラリーマンのリストラ事情。今までの巻と比べてグッと身近な現実感があります。その為あまりハチャメチャな展開にはなりません。社会で悩むのは若者だけではないんだという事を実感できた話です。
その多少重めなテーマのせいで主人公達とのギャップが感じられましたね。
でも話は一番好きかもしれません。

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聖夜艶舞 ダイナマイト刑事5

おススメ度 6

中央公論新社 C・novelsfantasia 1998年05月

ダンス教室に通う老人に変死者が出た。その裏にある薬、その薬の成分は美容院で使用される錠剤である事が分かる。

そこに美容院を経営する主婦が、症状を起こした義母を殺したと自白する。

ダイナマイト刑事完結です。
今度は池端玲二の父親が登場、さらに松田洋平に一目惚れする女性も現れます。

洋平が玲二と交わしていた約束していた事とは?その約束を前に相変わらず迫りまくる池端。仕事しろよ、と突っ込みたくなります。

話は難解でなく、犯人も予想がつきます。最後に少し犯人に同情してしまいました。犯罪は駄目ですけれども。
三浦刑事もなかなかの成長ぶり、ですが、やはり最後まで女性向けの話でしょう。

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あ行 か行 さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行