白石一郎 犬を飼う武士 十時半睡事件帖

私のおすすめ度 7

講談社 講談社文庫 1994年09月

あらすじ

「犬を飼う武士」
お互い無理やり縁談を勧められている若い侍と、武家の娘。
二人で捨てられていた子犬の世話をするうちに、恋愛感情を抱き駆け落ちする。

「桜散る」
美貌の児小姓が、寵愛を盾に侍二人を死へ追い込む。

「千本旗」
酒を断つと決めた男が、出世したために酒を飲まなければならない事態に陥る。

「暴風雨」
暴風の後、特別の仲でもない居酒屋の女を心配して駆けつけてしまった、軽率な侍の話。

「勘当むすこ」
兄の死亡により、家を出ていた弟が無理やり家に戻され、妻子に不満はないが仕事に拒否反応を起こしてしまう話。

「弥七郎の恋」
半睡の息子弥七郎が未亡人に手を出してしまう話。

感想

十時半睡事件帖の4巻目です。
「勘当むすこ」が面白かったです。一度は家を出たとはいえ、武家の息子。しかしその生活は自分には合わない。妻子に不満がないだけに、その苦悩が面白かったです。
今回も半睡が突き放してしまう話が多かったです。女性には「桜散る」などが面白いのではないでしょうか?

しかし、今回の読みどころは何と言っても弥七郎の恋。あの弥七郎がまさかと思いました。
これを気に半睡は総目付を引退します、全く想像していなかった展開なのでびっくりしました。

「暴風雨の侍」も嫌いではないので、私なら何とか救ってあげて。と思うのですが、半睡はばっさり切ります。その潔さが私にはないので、かわいそうだなと思いながらも、爽快なんでしょう。

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