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私のおすすめ度 7
角川書店 角川文庫 2005年12月
あらすじ
密かに行われた横手との試合は横田の監督が現れた事でうやむやに終わってしまった。
そして巧と豪の降板。
豪は巧の球を受けられなくなってしまう。
しかし横手の瑞垣は試合の再開を海音寺と練り始めていた。
豪の代わりにキャッチャーを引き受けることになった吉貞。
吉貞から練習に誘われた巧、向かった先で青波に引っ張られた豪、そして瑞垣、更に門脇も現れた。
感想
最高のバッテリーだと思っていた巧と豪が、一瞬で崩れ、そこからは雪崩の如く瓦解していきます。
互いに互いが必要なのですが、かみ合いません。今まではずっと巧と豪のペアが多かったのですが、バッテリーを組まなくなった事により、巧の周りが入れ替わります。最初の方より、巧に人間味を感じました。
そして面白いのが海音寺と門脇のやりとり、意外と海音寺が食わせ者ですね。
しかし海音寺が若干狙った感を受けるのは、私の目にもフィルターがかかっているからでしょうか。何だかジャンルが違う小説を読んでいる気分になってしまいます。もちろん作者の意図かどうかは分かりませんが、女性受けはしそうだなと思います。
そして不覚にも終わりに入っている巧3歳の話「空を仰いで」に涙しそうになりました。
私も祖父母宅に入り浸っていたので、思わずその楽しかった頃を思い出してしまいました。
「空を仰いで」優しく、美しい文章でした。
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