花田一三六 戦塵外史 四 豪兵伝

おススメ度 7

ソフトバンククリエイティブ GA文庫 2007年11月

あらすじ

「人斬り」
富農の五男として生まれたファード、長男次男が大切にされた時代であったが、裕福であったので働き手としてでもなく、何不自由なく育てられた。
そのせいか多少屈折した少年だったが、剣には才能を示し、やがて領主の息子の従者となるが、留学先で姿を消す。

「豪兵伝」
身重の妻を残し徴兵されてしまった樵、妻の元へ帰るため必死で斧を振るうが、それが敵の目を引いてしまう。

「女人像奇談」
石工は漠然と石像を彫り始め、その石像に惹かれていく。そんな彼を案ずる婚約者は神官へその石像を魔性の像だと訴える。

「工房小話」
腕は確かな鍛冶屋のカイン、養父から自分の跡を継いでほしいと頼まれるが、人殺しの道具である剣を作るのが嫌でその決断は付かない。
ある日親方は、自分とカインの作る剣の違いを示してくれる。

「最後の仕事」
貧しい村に領主としてやってきたダガード、飢饉を克服するためある作物を研究するが、中央への租税が間に合わず苦悩する。

「導く女」
まだ女性の存在が軽んぜられていた時代。朴念仁、というか女性に対して不器用な王バルディール。後に「不敗の王」と呼ばれる男だが、二十歳の頃初めて敗走を経験し、ある女性の家へとたどり着く。

「轍の記」
エリシオという荷駄隊にいた男の話をつづったもの。

「農夫の剣」
戦乱が落ち着いた頃、傭兵シェンナは傭兵となるべくして生まれたような「先生」が傭兵をやめたと聞き、「先生」を訪ねるが、そこで「先生」から農夫になれといわれる。

感想

今回もどれも面白かったです、その中で「女人像奇談」は少し変わっていますね。今までにない系統です。
内容はあんまりここに書いてませんが、「轍の記」も面白かったです。「轍の記」は花田さんの独特の書き方の極みではないでしょうか。
「豪兵伝」は題名のわりにあったかい話です、とにかく奥さんが心配な愛妻家です。「農夫の剣」もいいですね、何と言うか心境の変化が上手く書かれてます。

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