早川書房 ハヤカワ文庫 1983年08月
あらすじ
父親を捜すクレイ、しかしその手段は絶たれてしまった。
ただ一つ方法があるとすれば、妖魔を支配し問い質すという方法だった。
騎士を目指していたクレイはそれを諦め、妖魔支配者となる決意をする。そして師匠となるべく人物を捜すが、名乗りを上げたのはクレイの父であるレジークであった。
クレイの存在を知ったレジークはますますデリヴェヴが自分に復讐をたくらんでいると考え、飼殺しにしようと画策していた。
そうとは知らないクレイはレジークの元へ弟子入りをするが、彼から教えられるのはほとんど役に立たない事ばかりであった。だが妖魔支配者となるべくクレイはそれに耐え続ける。
しかしやがてレジークが母のデリヴェヴを恐れている事を知ったクレイは、自分を自由にするかわりに妖魔支配の方法を教えると言うギルドラムの言葉を受け入れる。
クレイが二十歳になる頃、クレイはやっと妖魔の支配に成功する。
そして長年求め続けた答えを妖魔に問うが、それはレジークが父親と言う衝撃の言葉であった。
父親が誰かを知ったクレイはギルドラムの制止を振り切り、レジークの城を飛び出すが、クレイを殺すよう命令されたギルドラムと再び再会する。
もう一度レジークに対抗するというギルドラムとともに、クレイは魔界で修業を始めた。
感想
とにかくギルドラムがいいです。
少女の姿で感傷的な言動に心が揺さぶられます。
とにかく自由がほしい。
レジークの支配のせいで真実が語れないギルドラムは、どれほどもどかしかったか。
でも読後は爽快です。
ギルドラムは少女の姿が多いので、どうしてもそのイメージが強いのですが(下の表紙がギルドラムの少女の姿なので)、セリフの一つ一つを見ればどことなく男らしいのではないかと思います。
それがアンバランスさを出していて、なかなかツボにはまりました。
壮大と言う意味では、この小説は他の小説に一歩も二歩も劣ると思いますが、何度も手に取りたくなる、という小説ではないでしょうか。