フィリス・アイゼンシュタイン 妖魔の騎士 上

おススメ度 8

早川書房 ハヤカワ文庫 1983年08月

あらすじ

妖魔を操る魔法使いレジークは織姫デリヴェヴに求婚するが、慇懃に断られてしまう。
冷たい返答に自分を憎んでいると錯覚したレジークは、デリヴェヴの魔法から逃れるため彼女の魔力を落とそうと、下僕の妖魔ギルドラムを使い自分の子供を身ごもらせた。

しかし騎士メロールと名乗ったギルドラムとデリヴェヴは互いに愛し合うようになる。
だが妖魔であるギルドラムはレジークの支配から逃れる事は出来ず、レジークの元へと戻ってしまう。
一人残されたデリヴェヴは男の子を生み、クレイと名付けた。

成長していくクレイは、やがて自分の出生の秘密を知るため父の足跡をたどり始める。
騎士の格好をし、父の足跡を訪ねるクレイ、そこではクレイを愛しながらも捜索をやめさせようとするギルドラムが先々で先回りをしていた。

だがクレイの足を止める事は出来なかった。
途中で知り合った両目の色が違う乞食のセプウィンを連れ、やがてクレイは千里眼の魔法使いヘイレンを訪ねる。

感想

実は先に「氷の城の乙女」を読んでいて、クレイの両親の不思議な関係が気になっていたので一気に読んでしまいました。

ギルドラムはレジークに仕えている間はほとんど少女の姿をしています。
しかし何かにつけデリヴェヴの住む城に行ったり、クレイを見守ったりと妖魔らしくない行動をとります、このあたりは心配性のお父さんですね。

そしてそれに全く気付かないデリヴェヴやクレイ、ある意味ギルドラムに振り回されながらクレイは妖魔が名乗った架空の父親を捜しに旅を続けます。何度も絶望を味わいながらもそれでも真実を捜すクレイ。

ここで出会うセプウィンとヘイレンは「氷の城の乙女」でも出てきますね。

そっちの方でも書きましたが、少し変わった定義の魔法と、文章の雰囲気からでしょうか?しっとりした印象の世界に入り込んでしまいます。
若干クレイの出生が何なのでお子さんには・・・・・・と思われる方もいるかもしれませんが、おススメの小説です。

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