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おススメ度 5
中央公論新社 C・novelsfantasia 1997年01月
あらすじ
蝶子の元に2件の依頼が舞い込んだ。
一つは自分の息子の後をつけて調査して欲しいというもの。
かなりの美少年にやる気の出る蝶子だが、息子が入ったビルで会っていた若い美青年は、突然年老いて消えてしまった。
しかもその息子は依頼主の子供でなく、家族は依頼すらしていない事が分かった。
もう一件の畑五十鈴の依頼は、孫娘の愛里身辺調査の依頼だった。
彼女は夫との会話もポケベルで行うような細菌恐怖症だった。
調査対象の周りでは子供、若い夫婦などが突如奇怪な行動に出始めていたが、蝶子のスメルは何も反応を示さない。
感想
蝶々夫人の事件簿完結です。
蝶子の周りで奇怪な事件が起き始め、伊知郎の弟は女装を始め、姫香は信夫に惚れたと思ったら蝶子に興味が移りと、どちらかと言うと同性に襲い掛かる事件が頻発します。
そしてポケベル夫婦。今だとメールですね。ポケベル全盛期を知らない人もいるかもしないので少し説明すると、文字数が制限された受信専門のメール機のような感じでしょうか。学校の休み時間とかは公衆電話に長蛇の列が出来たくらい流行ってました。
携帯が出てきてからはぴたりと収まりましたが。
お互いを愛しているけれど、女は細菌恐怖症で、更に夫はエリートコースを歩んできたので、どう妻に接していいか分からない。
そんな夫婦に蝶子の夫、伊知郎が自分も蝶子に会わなかったらと思いを馳せます。
仕事をやめたいとぼやいていた伊知郎ですが、最後に蝶子を守るため必死で警察を動かします。
なんだかんだと妻を守るために必死になる姿は、どんな小説を読んでいてもいいものです。普段がのほほんとしてるので尚更です。
事件解決の鍵の一つも夫婦の愛です。
3作品の中では一番面白かったです。