鷹見 一幸 リセット・ワールド 僕たちだけの戦争

おススメ度 7

アスキー・メディアワークス 電撃文庫 2008年03月

あらすじ

五年前、世界中の国々を原因不明の疫病が襲った。
その致死率の高さと罹患率の高さから世界の総人口の八割以上が失われた。
残ったのは病気を発症しなかった十八歳未満の子供たちだった。

園山慎吾は大道寺正行が大統領を名乗る西東京共和国へとやってきた。
活気にあふれ、物資にあふれる西東京共和国だったが、慎吾は違和感を覚える。
西東京共和国には弱者を強制的に働かせている裏の面が多々あったのだ。
慎吾はそこで大宮から西東京共和国の様子を探りに来た矢上由紀江と出会い、拉致されてきたサナエという少女を連れ、大宮のコミュニティを目指すことにした。

実は園山慎吾は生き残った大人たちのいる長野を発ち、大人たちの持つ知識・技術を伝えることができるコミュニティを探していた。
しかし大人たちの秩序を必要と考えない西東京共和国の大道寺と参謀役の多田は、慎吾の後ろにある大人たちの存在に気づき、慎吾の排除に動き出す。

感想

とにかく世界観が面白かったです。
大人たちが死に絶え、子供たちしか残らず、当時は幼い子供たちを高校生・中学生が保護する。
物を生み出す力が衰え、五年前の遺産を消費している世界。
工業・農業系学校出身の者がいれば農作や機械の修理もできますが、それでも機械については抜本的な解決は見通しが立たない。
大小様々なコミュニティが存在しますが、力で奪い取ろうとする北斗の拳のような連中もちらほら。
その中で絶対的な知識を持つ、たった300人生き残った大人たち。

この構図が面白い。
これだけ面白そうな設定なのですが、焦点は園山慎吾の知識・技術を伝えられるコミュニティ探しです。
このあたりは鷹見さんらしいですね。
そして慎吾が持つ知識、これも鷹見さんらしい生き残るために必要な事で事態を切り抜けていきます。
パターンと言ってしまえばお終いですが、全てがうまくいくわけではないので毎回ハラハラしながら読めます。

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