宇宙と老人 ジョン・スコルジー

私のおすすめ度 8

早川書房 ハヤカワ文庫 2007年04月

あらすじ

七十五歳の誕生日、ジョン・ベリーはコロニー防衛軍へと入隊した。
以前採取された遺伝子サンプルより作り出された若い自分自身の体で生まれ変わったジョンは、軍人として訓練を受ける。

異質なエイリアンたちと戦い死んでいく同僚たちの中、何とか生き残ったジョンはゴースト部隊の中に亡くなった妻の面影を持つ女性と出会う。

感想

老人と宇宙、宇宙と書いて“そら”と読む、とにかく題名にひかれ買った小説なのですが、とにかく面白かった!夢中で読みました。

いったい老人がどうやって戦うのか?
長年の経験や、知識を生かすのかと思いきや、ただ若い体を手に入れての肉弾戦。
訓練も新兵への訓練と変わらず、今までの人生ほぼ関係なし。

入隊するまでの過程と、若い体に転送されるまでの過程は当然みんな老人なので、会話も老人の会話。
それが、若い肉体を手に入れた途端、一気にはっちゃけてしまった時は思わず声を出して笑いました。
他の所でもちょいちょい笑ったのですが、同僚などは遠慮なく死んでいったりするので本筋はかなりシリアス、それなのにまさかSFでこんなに笑うとは思いませんでした。
ただ笑えるばかりではなく、それなりに色々読みなれている私でも思わず「うっ!」と思うよな描写もあります。

でもとにかく話のバランスがいい。テンポもいい。
殺伐とした戦闘が繰り返されて終わりかと思いきや、最後に妻かと思われる人物の登場など、話に色を添えています。

老人が戦うという設定もそうですが、軍人になってからの会話もちらほら老人のセリフみたいで、とにかく読みやすい。
「宇宙の戦士」の21世紀版と書いてありますが、話は圧倒的にこちらの方が読みやすい。
好き嫌いは人によると思いますが。

分厚さの割にはすぐ読める、おすすめです。ジョン・スコルジー 小説一覧へ

作者一覧へ

タイトルとURLをコピーしました