早川書房 ハヤカワ文庫 2006年08月
あらすじ
十年前、エラントリスという魔法を使う美しい人々が住む街が悲劇に見舞われた。
美しい容姿は見る影もなく変貌し、魔法の力も失われた。
そのエラントリスがあるアレロン王国の王子ラオデンは、ある朝、体の変化に気づいた。
その変化はかつてはエラントリスに住むための条件であったシャオドと呼ばれた美しい変身だったが、十年前の悲劇であるレオド以降、その変化は髪は抜けていき、肌は不気味な黒いしみに覆われるようになっていた。
シャオドに見舞われたものは、今は汚泥に覆われ、封鎖されたエラントリスへと放り込まれる。
王子のラオデンも例外なくエラントリスへと放り込まれた。
何の秩序もなく、ただ空腹を満たす事を優先する住人たちに、ラオデンは人らしく生きる術を模索する。
一方、テオド王国の王女サレーナは婚約者であるラオデンが死亡したと伝えられ、寡婦となったことを知る。
婚姻契約書により、ラオデンが亡くなってもサレーナは婚姻継続となるのだ。
元々勢力を広げつつあるフィヨルデンに対抗するための政略結婚でもあったので、サレーネはアレロンにとどまることを選んだ。
しかしすでにフィヨルデンのデレス教のホラゼン大司教の手が回り始めていることに気づき、かつてのラオデンの仲間たちと抵抗を始める。
感想
時間つぶしに読もうと手に取ったのですが、あっという間に上下巻読んでしまいました。
読み始めから、これは読みやすい!面白い!とわかる小説でした。
ラオデンとサレーネの行動が気になり、次はどう動くのだろう、どうするのだろうと夢中で読みました。
元々評判の高かったラオデン。
エラントリスに放り込まれても、その資質をいかんなく発揮します。
シャオドに見舞われると容姿が変貌し、傷は治りにくく、耐えがたい空腹に襲われますが、人間らしい自我を保つには持続的に食料があればいい。それに気づいたラオデンが」人間らしい生活を送れるよう仲間を集めていきます。
しかし、外の様子は知るすべもなく、フィヨルデンの内部侵略には気づきません。
それに対抗するのがサレーネです。こちらは少しハラハラするのですが、何とか抵抗していきます。
元々好意を持っていた二人がいつ出会うのかとワクワクしながら読んだのですが、これが中々かみ合わない。
そのもどかしさと展開の面白さも相まって、500ページを超えるのですが、あっという間に読める作品です。
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