角川書店 角川スニーカー文庫 1994年02月
あらすじ
橙子、文也、司はランドクルーザーの男の住居に侵入していた。
家捜しの結果、その男の名は久地青冬と判明したが、その途中に家に戻ってきた青冬に襲われる文也達。
青冬を止めようとしたのは、青冬の父久地慶忠だった。しかし逆に青冬に切り付けられてしまい、青冬は逃亡する。
青冬は昔ある事件を起こし、死んだ事になっていたが、父慶忠に庇われ密かに逃走していた。
文也は慶忠が言った静花と言う名前が気になっていた。静花は彼の母の名前だった。司に相談してみると、司はその名前に聞き覚えがないという。
司の母は二十年以上前に亡くなっており、文也と司は実は異母兄弟だったのだ。
文也の母静花は水代家の人間であり、文也は水代家の血を引く最後の人間だった。
六家同士の婚姻は禁じられており、青冬は静花を好きだったが諦めるしかなかった。
そこに文也の父が静花との間に子供をもうけ、青冬は文也の父を逆恨みしていた。
文也の両親は事故で死亡しており、そこに青冬がからんでいたのだ。
かなえの元へは以前一緒に暮らしていた火車真琴が、たった一人の身内を亡くし訪ねてきていた。
一方青冬は空知家の家を爆破したが、間一髪気づいた文也達は難を逃れる。
住む家を失ってしまい、文也達は月影の家に居候する事となる。青冬は爆破だけでなく、月影の経営する宝石店にまで標的を広げた。
感想
なぜ、かなえはこうも笑える要素を含んでいるのでしょうか。
自分で被害を与えた庭でのた打ち回る鯉を池に戻すだけで、読んでて笑えます。
このツボがたまりません。
そして衝撃的な事実。文也と司が異母兄弟。年に二回母の命日がある事を何故もっと早く疑問に思わないのか。そのあたりはさすが司と言うところでしょうか。文也が水代家の血を引いているだけでなく、自分の力に気づいていなかった司も無意識にその力を発動させたりと、力だけから脱却かと思いきや本当に制御できていません。
この小説を最初読んだ時、この時点で話がここまでしか進んでいなくて、最後はどうなるのだろうかと不安だったのですが、次巻で見事に終わっています。