ロイス・マクマスター・ビジョルド 戦士志願

おススメ度 6

東京創元社 創元推理文庫 1991年01月

あらすじ

貴族の息子マイルズ・ネイスミス・ヴォルコシガンは士官学校へと通うが、生まれつきの身体的障害により士官を断念せざるを得なくなる。
そんな時、マイルズの祖母に会いにベータへとボサリ軍曹と彼の娘エレーナと行く事になる。
そこでマイルズは旧型の輸送船とパイロットのアード・メイヒュー、機関士のバジル・ジェセックを迎え入れる事が出来た。

その船にカール・ダウムというフェリス人から、タウ・ヴェルデ第四惑星まで運んで欲しいという依頼が飛び込む。

なりゆきでダンデリィ傭兵隊と名乗ってしまったマイルズは、自らも身分を隠し船に乗り込む事になる。
しかしタウ・ヴェルデへ向かう途中、オウセル傭兵隊により拘束されかけるマイルズ達、しかし逆に船を乗っ取り、巧みに仲間へと引き込むことに成功する。

そして次第に増えていくダンデリィ傭兵隊は戦火の渦中へと巻き込まれていく。

感想

序盤の士官への道を閉ざされるあたりや、船を手に入れてからの話は面白かったのですが、その船を手に入れるあたりは少し中だるみをしてしまいました。
しかし、そこを越えれば後は一気に読めます。
身体的ハンデがあるため、戦闘力ではエレーナにすら劣りますが、その頭の回転の良さと滑らかな舌で襲い掛かる困難を全て乗り越えていきます。

しかも最初はただの輸送の話だったのに、いつの間にか戦争に巻き込まれ、更に自分の身分がかなり高いせいもあり、身近な人間以外には身分も隠し、傭兵隊を率いていく事になります。
ある種のカリスマ性があるのでしょう、他人の心を見抜く洞察力などと相俟ってダンデリィ傭兵隊は一つの軍隊の様子を呈してきます。
しかも仲間に引き入れた者達から給与での待遇や規則の文書での配布の要求など、現実感のある要求などが、シリアスさと良いバランスを保っています。
それでも最初は何とか自分達だけでも国に帰れるように作戦を勘案しますが、気づけば引き入れた仲間にがっちりと周りを固められています。
それは身体能力では士官出来なかったマイルズの、指揮官としての能力の高さを示しています。

しかしマイルズはまだ少年でもあり、自分に幼い頃から仕えるボサリや娘のエレーナに関してはくよくよ悩むところもあります。ですが、最後では再び大逆転を見出すなど、爽快さを感じる事が出来ました。
本自体も分厚く読み応えもあります。

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