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私のおすすめ度 9
角川書店 角川スニーカー文庫 1993年06月
あらすじ
特殊な能力を持つ一族、空知、光華、月影、地維、火車、水代の六家。
他人とは違うと理解しながらも、まったく普通の生活を送っていた空知文也は何者かに狙われ始める。
そんな時、六家を束ねる光華家の当主橙子より、地維家の当主かなえが、その特殊な力を用いて政治経済の中枢へ入り込み、政治の腐敗を正し政治の乱れを改善しようとしていると聞かされる。
まったく自分の家系について無関心だった空知家と、同じく呼び出された月影家当主四郎は、消極的ながらもかなえを阻止しようとする橙子に協力する。
地維家の係累である久地、宮地、城地の三門。その三門のうちの1つ、城地家当主、城地千太郎は崇拝しているかなえのため、独断で空知家を説得に来ていた。が、達筆すぎる矢文のため読むことのできなかった空知兄弟はすっぽかしてしまう。
改めて話し合いの場を設けたが、千太郎と橙子が口げんかを始めてしまい、千太郎は土鬼を呼び出した。
感想
と、あらすじだけを書くと超能力合戦の小説かと思われそうですが、確かに超能力戦もありますが、面白いのは通常、日常の会話です。これが上手い。
ストーリー自体はゆっくり進むので、あらすじを上手く紹介できないのが残念です。話自体も面白いのです。
そして人を表す時にさりげなく入っている一言にツボをつかれます。
この上手さは津守時生さんの喪神の碑を彷彿とさせます。
空知兄弟の微妙な会話や地維のセリフ。まったく予想もしていなかった展開、それがセリフの上手さとツボをつく文章で相乗効果を上げています。
大声でおススメしたいのですが、あまり売れている感じがしないのが残念。決して王道のストーリーではないので万人が手に取る感じではないからでしょうか。