上原尚子 くたばれ戦車商隊

私のおすすめ度 7

富士見書房 富士見ファンタジア文庫 1989年09月

あらすじ

月側の解放条約軍と地球の経済連合機構との戦争。
その戦場の月において中立を保つ反地球勢力が、秘密裏に裏活動などを行う解放条約軍に対し支援を開始した。
解放条約軍傘下に商隊と言うある種の賞金稼ぎの組合がひしめき合うようになり、賞金が懸けられた連合軍の兵器や軍備などを狙うようになった。

チーム2355、ユカヤ、コー、フェド、シーリェ、カイズの商隊に、ある時ファーイースト重工業から連合軍の兵器リトルマレイの破壊の依頼が舞い込んだ。
ユカヤにとって、リトルマレイは以前所属していた商隊を壊滅に追い込まれた因縁の兵器であった。
依頼の仕方が気に入らないものの、リトルマレイへの撃破へと出撃するユカヤ達。
しかしその情報はファーイースト重工業の寝返りにより、敵に察知されていた。

感想

昔の小説、といった感じでした。
でも私は題名と挿絵を見ただけで思わず衝動買いをしてしまいました。
こういうライトノベルでの古めかしい感じの小説を読んだのは久しぶりです。

月での小規模の小競り合いという、決して大きくはない戦いに焦点が当てられた小説ですが、その少々古めかしい感じに一気にこの世界へと駆り立てられました。

壮大な銀英ももちろん大好きなんですが、こういう大局的に地味なSFも好きです。

ただ、今の中高生は読まないだろうな、と思われる小説でもありました。
主人公の性格も今ひとつ現代には合っておらず、ヒロインも出番が少なくただの人。
本当に戦闘に重心を置いた話です。

世界背景も説明がされていますが、あくまで焦点は連合軍でも解放条約軍でもなく、5人ばかりの商隊。
その世界観に対しての主人公達の存在のさりげなさが、私は好きです。
平成元年発売の富士見ファンタジアの初期の作品で、本当にこの頃の富士見ファンタジアは古い感じで読み応えがあるなと感じました。
かなり薄いので、昔の雰囲気を読みたいと思われた方に。

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