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私のおすすめ度 6
新潮社 新潮文庫 2006年07月
あらすじ
泉水の弟春は、学生の頃女性徒を襲った男子生徒を撃退し、更に女性徒にまでバットを振るった。
春は「性的なるもの」に、怨讐に近い嫌悪感を抱いている。なぜならば春は父と血が繋がっておらず、母が突然部屋に入ってきた男に襲われた時の子だった。
やがて泉水は遺伝子情報会社に就職し、春は落書き消しを仕事とした。
その春から泉水の会社が放火されると連絡があり、実際その通り会社は放火される。
以前から連続放火が続いており、春はその放火に関連性がある事を見抜いていた。
放火される場所の近くにはグラフィティアートがある。しかし関連性はそれだけではなかった。
そして泉水は更に放火の関連性に気づく。
感想
まず始めに一体これは何の小説だろうと思いました。普通の話なのか推理物なのか?
主人公は弟に比べると平凡な泉水、春は強烈な印象なのですが掴みどころがない印象です。
その中で印象深いのが二人の父親。
強姦された末に出来た春を、産もうと決意したのは父親です。しかしその父親は末期癌に侵され、始終病院に入院中です。
この作品の中では一番かっこいい人物だと思います。
泉水はだんだんと事件に巻き込まれていった、と思っていますが実は・・・・・・
という展開です。
犯人自体は半ばでほぼ予想でき、理由も想像出来ます。
泉水と春は仲が良いのか悪いのか、悪いわけではないのですが、兄弟というある種の閉塞感もあり、読み終わった後で考えてみると物語自体はかなりせまい世界の話です。
途中までは全てのパーツを広い集めている作業的な感じでしたが、最後にえ?どういう事??という予想外の事もあり、謎解きが苦手な私でも一気に読み切る事が出来ました。