講談社 講談社文庫 1994年01月~1994年12月
あらすじ
美しい少女アンジェリク、彼女はペイラック伯爵に身売り同然に嫁ぐが、そこで待っていたのは幸せな結婚生活だった。
しかしそれは突如悲劇に見舞われる。 夫は火刑にされ、身重のアンジェリクは長男フロリモンとフランスの街を逃げる。
彼女は裏町に身を落としながらも、必死で生き抜いていく。
そしてフランスだけではなく、ある人を求め舞台は海へと移る。
感想
十七世紀を舞台にした海外版昼ドラのような話です。
長すぎて内容の説明がどこまで書いていいものかと悩みます。海に出るあたりで半分弱くらいでしょうか?
私はフランスにいた頃のほうが好きです。後半になると、私が知らないだけなのでしょうが、新教徒とプロテスタントや、国と国との関係などが常識として書かれているので、そのあたりが分からないので「どうして?」と思うこともしばしばです。
日本なら決まった国だけとの出島での貿易とか、鎖国の概念など、日本人は歴史で習ってある程度常識的に知っている事がフランスに置き換えて書かれているので、少し行き詰まりを感じました。
特に宗教の概念が強いので、そのあたりが分からない以前に、嫌いな人は辛いかもしれません。前半はそれほどでもありませんが。
メインの舞台が変わるからかもしれませんが、前半と後半のイメージはだいぶ違います。
貴族のアンジェリクですが、もう次から次へと振ってくる災難にいやと言うほど振り回されます。
振り回された結果、元々強い女性でしたが、本当にたくましくなっていきます。
しかし、途中で再会するあの人の前で見せるちょとした弱さなど、読みごたえは十分です。
全体的には長いせいもあって、登場人物が半端ではありません。この事件だけの人かと思ったら、数年後に現れたりと、もうその時には忘れてしまっている事もしばしばです。
最初はがんばって名前を覚えるようにしていたのですが、後半は諦めました、もう主要人物さえ覚えるのが大変でした。
しかしそれでも読み続けたのは、最初の夫のジョフレが好きだったからです。
アンジェリクより一回り年上で、アンジェリクを包み込む包容力を持っています。
そのジョフレとの出会いの最初の方、そして海賊レスカトールとの再会のあたりが個人的には好きです。
最初タイトルを見たときはアンジェリークを思い出したのですが、まったく違いますね。そのノリで手を出すと途中で挫折する可能性が高いです。読む時はじっくりと読む覚悟がいります。
長さ、人物の多さ、波乱が押し寄せてくる人生、宗教的背景、人種的背景、これが読むときの判断材料でしょうか。