講談社 講談社文庫 2010年09月
あらすじ
依田いつかがふと見た看板、その店は確か最近つぶれていたはずだ。
携帯の日付を見ると、それはいつかが認識している日付より三カ月も前の日付だった。
混乱するいつかだったが、いつかの現在では終業式の十二月二十四日に同級生の誰かが自殺していた事を思い出す。
この現象を相談するため、いつかは中学からの同級生坂崎あすなに声をかける。
ほとんど話した事もない相手だったが、タイムスリップに関する本などを読んでいた事を知っていた。
三か月前からタイムスリップしたといういつかの話を、あすなは信じると言う。
実はいつかが違和感を覚えた店の看板、その店は元々潰れていて近々あすなの祖父が店を出す予定だったのだ。
そしていつかはあすなの助言通り、名前を思い出せない生徒の自殺を止めるため仲間を集め始める。
親友の長尾秀人、秀人の彼女の椿、そして秀人の親友の天木敬。
5人は学校で自殺しそうな人物を捜し始めた。
感想
ただ単に推理物かと思い読み始めたら、その文章の面白さに一気に引き込まれて行きました。
下巻の最後までどうなるのだろうとドキドキします。
かなり分厚いのですが、それを感じさせない小説です。
次のページをめくるのが楽しみで、ノンストップで読み切りました。
そして久々に小説で泣きました。
始まりがちょっとファンタジーな感じだったのが私に合ったのでしょうか?
話としてはタイムスリップしてきた結果、知っている自殺と言う出来事を防ぎたい。
そして協力者を集めて、自殺しそうな人を捜す、という単純と言えば単純な話ですが、主人公達の高校生らしさが絡まりその過程全てが面白い。
上巻で話の流れの中で僅かにあれ?と思う所があります。
それが結末への伏線だったのですが、それを深く考える前にとにかく続きを読みたい、と思える小説でした。