瀬川貴次 闇に歌えば1~7
集英社 スーパーファンタジー文庫 1991年7月~1994年12月
あらすじ
楠木誠志郎はある時、前髪を染めてみると色が抜けなくなり、それがきっかけで霊能力が身につく。とはいっても、霊能者の祖母の修行から逃げまくったため、霊探査が優れているのと魂鎮めの歌を歌うことくらいしかできない。しかし、友人の和宏は霊感なしで霊を呼び寄せる体質。その隣に住む美佳子は霊感はまったく無いのだが、霊を追い払う体質を持っており、主人公は否応なく多難な事件にめぐり合ってしまう。
そしてある事件が元で、文化財保護特殊文化財課(通称ヤミブン)にその能力を買われ、仲間にと誘われる。
感想
闇に歌えばはコバルト版も出版されていますが、読んだのは今や懐かしいスーパーファンタジー文庫の方です。かなり挿絵が変わっていますが、やっぱり最初に読んだ方の挿絵のイメージが強いですよね。今はさらに新装版があるみたいです。
どちらかというと霊退治より主人公の成長物だと思います。
あっさりしているのに、一気に読ませてくれる小説です。
展開、周りのキャラクターはさすがに少し古いかなとは思いますが、そこは古い良さがあり。何故か個性が際立っているように感じます。
話もシビアな所もあり、面白いです。
瀬川貴次 闇に歌えば8~11
集英社 スーパーファンタジー文庫 1995年9月~1996年12月
あらすじ
ヤミブンでアルバイトを始めた楠木誠志郎。ちょっと変わったヤミブンのメンバーにも慣れた頃、ある時素っ裸の少女が降ってきた。誠志郎、和宏、美佳子は海へ帰りたいという少女の願いを叶えようとするが、その少女は今まで誠志郎を狙ってきた者達と関わりがあった。
それを追う歴史の浅いヤミブンを少々蔑視する陰陽寮御霊部。
陰陽寮御霊部の飛鳥井と少女を追ってきた鷹子を巻き込み、6人の逃亡が始まる。
感想
どうにもドタバタのイメージが「闇に歌えば」にはあるのですが、よくよく考えたらストーリーは結構暗いし重いです。
和宏と美佳子がいるおかげで道中はテンション高いですが。
今回周りの大人達が子供達(大学生と高校生と中学生)に振り回されっぱなしです。無理やり巻き込まれた御霊部の飛鳥井ですが、このあたりが「聖霊狩り」にも絡んできます。
瀬川貴次 闇に歌えば ナイト・コーリング
集英社 スーパーファンタジー文庫 1998年01月
あらすじ
楠木誠志郎とオサキ使いで温厚な溝口耕作、陰陽師でいつも誠志郎をからかう有田克也は、不老不死の実〈ときじくのかくのこのみ〉が盗まれたらしいと聞き、奈良にやってくる。
手がかりを求め、元ヤミブンのメンバーで耕作と同期の〈風使い〉の大友広海から創建神話などを教わる。
感想
内容はヤミブンの3人がメインで、あとがきに書いてあるとおりこれだけでも読み切りとして読めます。
今までがそれとなく続き物っぽい話でしたが、こちらは完全にこれ一冊で完結なので、少し他と雰囲気が違います。
「闇に歌えば」はこれで終わっていますが、「聖霊狩り」が世界観が同じです。コバルトではこの巻を見かけませんが、どこかで新装版は出ているのかな?
瀬川貴次 暗夜鬼譚 春宵白梅花
集英社 スーパーファンタジー文庫 1994年06月
あらすじ
元服したばかりの夏樹は近衛府に勤め始める。父が金をばら撒いて官位を買ったせいか、同僚からは嫉妬を買い、上司には異様に可愛がられている。ある時弘徽殿の女御に仕える、いとこの美雪に会った帰りに、頭が馬の大男と男にしておくのはもったいない美少年を目撃する。
物の怪が出たため警戒を始める右近の中将たちだが、夏樹は大男と少年が気になり単独行動を取る。
そこで幼い子供の足跡に気づくが、見つかったのは梨壺の更衣の女房の死体だった。
同僚に呼び出された夏樹は袋叩きにあいかけるが、そこへあの美少年、陰陽寮で陰陽生をしている一条が助けに入った。
鬼の足跡以外に残された幼子の足跡が気になる夏樹は、一条と共に梨壺での祈祷に向かう。
感想
決して大声で「面白い」と言う本ではありませんが、読み返したくなる小説です。
時代は平安時代、陰陽師物の様で微妙に違う感じです。この巻に出てくる馬頭鬼のあおえが何とも言えない和みを醸し出しています。
主人公はお決まりの鈍感少年、いとこの美雪の気持ちに気づかないばかりか、上司の気持ちにも気づかない。
一条とのコンビは中々面白いです。
読んだのはスーパーファンタジー文庫なのですが、リンクがなかったので復刊の方です。内容はたぶん同じだかな?
瀬川貴次 遊行天女 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1994年09月
あらすじ
一条の師、賀茂の権博士と密教僧照覚の雨乞い合戦が行われた。
権博士は近頃の日照りが魃鬼という妖怪のせいだと気づく。
一方、冥府に行くはずの魂がまた逃げ出しており、その霊魂を連れ戻すため、再びあおえが夏樹と一条に助力を求めてきた。
感想
この本を読むのは2回目で、以前読んだ時何かに笑った記憶があったのですが、読み返して思い出しました。あおえの女装姿です。一見の価値があります。
夏樹はせっかく親しくしてくれている人から大変な誤解を受けたり、やけに可愛がってくれる上司の正体を知ったりと、散々な目にあいます。
瀬川貴次 夜叉姫恋変化(前編) 暗夜鬼譚
あらすじ
夏樹は桂のお供で嵯峨野まで行くが、そこで一人の美少女に出会う。一目惚れする夏樹だが、彼女とは弘徽殿で常陸の君として再会する。
都では俤丸という盗賊が跋扈していた。狙う相手は東国の乱の後継者ばかりらしい。
同僚に頼まれ、邸の警護を始める夏樹だが、襲ってきた俤丸に攫われてしまう。
感想
夏樹昇進です。前回の事件でいつの間にか帝の目に留まっていました。帝がいい性格をしており、夏樹も振り回されます。
あの右近の中将から解放されたかと思いきや、まだまだ諦められていません。
今度は同僚にも恵まれているので夏樹も働き甲斐があります。
瀬川貴次 夜叉姫恋変化(後編) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1995年06月
あらすじ
常陸の君は、将門の息子良門の姉、滝夜叉だった。
帝の命により、滝夜叉の説得に向かう夏樹は一人で東国へ向かうが、夏樹を心配した一条が先回りをしており、共に旅立つことになる。
途中、前回の失敗のせいで冥府を追い出されたあおえとも合流し、三人で滝夜叉を探しに向かう。
感想
いつも周りに振り回され、初恋は破れと報われない夏樹。
好きになった常陸の君に帝からの文を届けなければならないし、常陸の君は一条が好きだしと、損な役回りです。
途中までは夏樹・一条・あおえのドタバタ道中記です。
しかし後半はびしっと締めてあります。その差が「闇に歌えば」と似ているのかもしれません。
そしてここで登場した滝夜叉が、この小説のある意味鍵かもしれません。
瀬川貴次 血染雪乱 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1995年11月
あらすじ
夏樹は懇意にしている弘季より、親友の妻が鬼に体の血を抜かれ殺されたと聞き、共に現場へと向かう。
そこで見た鬼は賀茂の権博士の顔をしていた。切り落とした腕に構いもせず真冬の川へ飛び込む相手に、夏樹達はその鬼を取り逃してしまう。
一方、美雪は自分に文を送る人物について夏樹に相談していた。
なんと文の相手は賀茂の権博士、それとなく真意を探って欲しいという美雪に押し切られ依頼を引き受ける。
権博士にその真意と鬼の件をそれとなく聞くが、切り落とした腕から血が出ないあの鬼が人である可能性は少ない。
宿下がりの途中、美雪はあの賀茂の権博士の姿をした鬼に襲われる。賀茂の権博士ではないと気づくが抵抗できない。
そこに、賀茂の権博士の弟、真角が助けに入った。
感想
冥府を追い出されたあおえは結局一条の家に同居することになります。
馬頭鬼なのに、あの丁寧なしゃべり方といい、おちゃめな行動といい、この小説の中の癒しキャラのように思えます。
そして美雪に文を送る賀茂の権博士、飄々として見えたので、少し意外でした。
今回の事件は今までに比べ、人は亡くなっていますけど、こじんまりとした事件です。
そのせいか今までの巻より登場人物に焦点が当てられ、面白かったです。
瀬川貴次 紫花玉響(前編) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1996年06月
あらすじ
「愛の狩人」を気取る帝の供をするため夜の都に繰り出す夏樹。
ある夜、帝は藤香と言う女性に出会う。一目惚れしたその姫に再び会いたいと願う帝のため夏樹達はその姫を探すが、どう捜してもその姫の屋敷へたどり着けなかった。
その途中夏樹はものすごい美少年の馨を助け、屋敷に招き入れる。
一方探し出せなかった藤香だが、彼女は承香殿の新しい女房として帝の前に姿を現した。
感想
帝に振り回される夏樹が哀れです。
そして偶然助けた美少年馨とのやり取りや美雪の勘違いも笑えます。
あおえの余計な行動も相変わらずです。
頭の中将が立派ですね、以前の夏樹の上司とは大違い。ですが、帝のお守りをする苦労は夏樹以上です。
瀬川貴次 紫花玉響(後編) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1996年07月
あらすじ
藤香を探すため、帝の身代わりをさせられた夏樹が行方不明になった。
職務に熱心な夏樹が自ら行方をくらますはずがなく、相談を受けた賀茂の権博士は同じく姿を消した藤香のせいだと推測する。
連れ去られた夏樹は、百年以上も前の服装に身を包んだ藤香に捕らわれていた。
一条とあおえ、そして小刻みに震える夏樹の太刀を手に美雪と帝も夏樹を探しに行くが、藤香から逃れようとする夏樹を助けたのは以前夏樹が助けた馨だった。
感想
何と災難が次々と降りかかるんでしょうね。
普段はわがままを言う帝ですが、ちゃんと夏樹を心配しています。このあたりが帝が憎まれない所以でしょうか。
途中まで藤香は有名な方かと思われますが、名前もあまり知られていない人物です。まさに歴史の影、なのでしょう。
瀬川貴次 五月雨幻燈 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1997年05月
あらすじ
陰陽師の道を捨て学者になる事を望む真角と一条に、賀茂の権博士の父の元へ下るようにとの文がくる。
一条が旅立ったあと、夏樹は奇妙な災難が降りかかるようになる。
実は賀茂の権に恥をかかされた巫女が復讐をたくらんでいたのだが、あおえのせいでその術が夏樹の家に向けられていた。
感想
少しドタバタ気味な感じですが、要所要所で夏樹がかっこいいです。
賀茂の権博士の性格がだんだん暴かれ始めます。見た目のクールさと違って意外と抜けている感じがかわいいです。
美雪に文を送る時点で普通の性格ではないのでしょうが。
一条の危機にさり気なく助けに行く夏樹、無意識のことですが何か縁があるんでしょう。
未だに閻羅王が迎えに来ないと嘆くあおえ、夏樹の災難の半分はあおえのせいですね、相変わらずです。
瀬川貴次 空蝉挽歌(1) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1997年09月
あらすじ
いとこの美雪に無理やり連れ出された市で、夏樹は暴れ牛に襲われかけるがある男に助けられる。
礼も言いそびれたその不思議な魅力を持つ男に、亡くなった家人を葬るためやってきた鳥辺野で再会した。
一方美雪の仕える弘徽殿の女御の実家では馬の怪異に悩まされていた。
夏風邪のため実家に戻っていた弘徽殿の女御は、その怪異を避けるため大堰の別荘へと移り、夏樹は一条とともに警護に当たる。
感想
最後に衝撃があります。
夏樹を助けてくれた久継、しばらくこの話が続きます。暗夜鬼譚では一番長い話でしょうか。そしてキーパーソンは頭の中将の妻、弘徽殿の女御の姉の美都子でしょうか。
瀬川貴次 空蝉挽歌(2) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1997年10月
あらすじ
大堰の別荘に現れた怪異の馬との戦闘で矢を受けた一条。その様子を見たあおえは一条の死を告げた。夏樹は一条を生き返らすため鳥辺野の珍皇寺の井戸から冥府に向かうことを決意するが、その途中で出会ったのは、またもや久継であった。
久継の協力もあり冥府へとたどり着いた夏樹は、術を用いて死者を蘇らせている術者を捕まえるという条件と引き換えに一条を取り戻す。
感想
どう見ても死にそうにない一条の死。そのままでは話が進まないので、誰もが察する通り生き返ります。
井戸を使い冥界へ行く、そのあたりは小野篁を思い出します、他には神話などもありますね。
どんな一条でも受け入れる夏樹、死者の手を躊躇わずに取れる強さ、だからこそ一条は生き返る道を選べたのでしょう。
瀬川貴次 空蝉挽歌(3) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1998年05月
あらすじ
一度は去ったと思われた怪異が再び左大臣の屋敷を襲う。その馬の乗り手は何やら頭の中将と因縁がある様子のあの久継だった。
夏樹は久継の正体を確かめるため、一条と共に久継が出仕する大宰府へと向かう。
そして冥府での約束が果たされるかを見届けるため、牛頭鬼のしろきもあおえと共に夏樹達を追っていた。
感想
夏樹が大宰府へと向かうきっかけ、それは帝が夏樹を直属の隠密部隊に命じたからで、そしてあおえとしろきはついて来ていると、相変わらず苦労の夏樹と一条です。
生き返ってから本調子じゃない一条。いつもの二人とは少し違う二人旅です。
瀬川貴次 空蝉挽歌(4) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1998年07月
あらすじ
大宰府に着いた夏樹は、藤原久継と面会する。
初対面という姿勢を崩さない久継に、夏樹は都で逢った久継と同一人物だと確信が持てずにいた。
しかしそんな中、久継は反乱を企てていた。
感想
やっと大宰府到着です。
優秀な官人に見える久継、それを疑う一条。
一方都では美雪が美都子に賀茂の権博士との仲を疑われていたりと、都は相変わらずです。
瀬川貴次 空蝉挽歌(5) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1998年12月
あらすじ
追い詰められ自害した久継、しかし久継は怨霊と化し都へと向かった。
夏樹と一条もあおえ達と合流し、共に黄泉比良坂を通り久継を追う。
そして久継は頭の中将と再び再会する。
感想
空蝉挽歌、完結です。
久継は決して頭の中将を憎んでいるわけではなかった。それでも戦いは避けられません。
そして、さりげなく賀茂の権博士も活躍しています。
要所要所でそれなりに重要な役割を果たしている割に、いまいちな印象を受ける彼が少しかわいそうです。
瀬川貴次 狐火恋慕(前編)(後編) 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 1999年09月・1999年12月
あらすじ
久継を救うことができず落ち込む夏樹を、同僚達は狩りへと誘う。夏樹はそこで同僚達が傷つけた狐を助けた。
一方承香殿の女御は縁結びで有名な白王尼と三人の娘を傍に置くようになる。
しかしその頃から夏樹の周りで変死をする者が現れ始めた。
その被害者達は全て夏樹を狩りへと誘った者達だった。
感想
今まで鈍感で、深雪の気持ちに気付かない鈍い夏樹ですが、今回はさすがに相手の好意に気付きます。好意を認識した途端に焦る夏樹が面白いです。
しかし今回の軸は一条でしょう、一条自身も疑問に思っていた自分の出生が明らかになります。
一条の両親が出てきますが、あまりに普通の夫婦で、逆にそれが悲しいですね。
前編はリンクがありませんでした。
瀬川貴次 綺羅星群舞 暗夜鬼譚
集英社 スーパーファンタジー文庫 2000年04月
あらすじ
「月読見姫」
いつものように市女笠を被り外へと出たあおえ、そこで盗賊に襲われる公達を助けるが、その公達はあおえに一目惚れしてしまう。
「桜闇舞扇~大冒険平安活劇の巻~」
紅葉を見にあおえとしろきを連れてある寺の裏山へとやってきた美雪。
日が暮れ始めたため、ある家で宿を借りるが、そこであおえとしろきは妙な薬を飲まされてしまい、目が覚めるとそこには人間の顔をした二人がいた。
「あやかしの筐」
美雪が助けた蛙のような顔をした老人、その老人は助けてくれた礼にと、大きなつづらと小さなつづらのどちらかを選ぶように言われ、美雪は衣装を入れられると大きなつづらを選ぶ。
感想
短編集です。
「月読見姫」と「桜闇舞扇~大冒険平安活劇の巻~」は笑えます。
「月読見姫」のある公達があおえと出会うのですが、このあおえとの出会いが後々生きてきます。
「桜闇舞扇~大冒険平安活劇の巻~」は、とにかくあおえとしろきの顔の美しい(かっこいい)事。この顔ならあおえの口調に何の違和感も覚えません。
顔を選べるのかどうかは分かりませんが、権の博士の式神の顔はいかがなものかと思います。
瀬川貴次 細雪剣舞 暗夜鬼譚
集英社 コバルト文庫 2002年07月
あらすじ
ある一件から筍を好んで食べるようになった、香殿の女御に恋文が届いた。
幾度となく会いに来るその文の送り主に冷たくあしらう香殿の女御、しかしその送り主はただの人間ではなかった。
感想
事件を何とかしようとする夏樹と、夏樹を巻き込ませまいとする一条。
この少しのすれ違いがこの先の巻で、次第に二人の間にほころびを生みます。
しかしあの筍の一件が再び出てくるとは予想外でした。
今回はネタとしては笑えるのですが、内容的には新たな敵の出現です。
瀬川貴次 凶剣凍夜 暗夜鬼譚
集英社 コバルト文庫 2003年11月
あらすじ
賊に襲われながらも何とか逃れた伊予守を助けた夏樹、彼女の屋敷に行くと以前にも見た「俤」という文字を目にする。
一方美雪が仕える弘徽殿の女御の兄定信は、白拍子を屋敷に迎える。
感想
瀧夜叉姫の事件を未だに忘れることができない夏樹。
傷の癒えない弘季。
一条に俤丸の事を相談しても結局はケンカになってしまいます。
救いといえば弘季の息子の季長が夏樹と親しいのが救いですが、一条とのケンカが何か嫌な予感を感じさせます。
瀬川貴次 火雷招剣 暗夜鬼譚
集英社 コバルト文庫 2004年06月
あらすじ
一時定信の元に身を寄せ、弘徽殿の女御に仕える事になった伊予は定信からある袿を渡される。
しかしその袿は人を殺し遺体を操り始めた。そして袿に操られた人物を追いかけた先で夏樹は瀧夜叉姫を目撃する。
一方、伊予より白拍子の存在を知った定信の父はその命を狙う。
夏樹も定信の屋敷へ向かうが、既に白拍子は逃げ、傷を負った伊代しか残されていなかった。
そして鬼より傷を受けていた弘季は、牛鬼と同化し冥府へと去ってしまった。
感想
一条の夏樹に対する他人行儀な話し方が、読んでいてものすごく辛かったです。
この時一条が手を差し伸べていたら、何も出来ないまでもきっとこの先が変わっていたはずです。
追い打ちをかけるように弘季が去り、追い詰められていく夏樹。
それが最後に決定的なある結果をもたらします。
瀬川貴次 烈風覇王剣 暗夜鬼譚
集英社 コバルト文庫 2004年12月
あらすじ
宮中での白馬節会で、カエルのごとき異相と化した定信を追ったまま、夏樹は姿を消した。
その後、都では雷を伴う異常気象に見舞われる。
行方不明となり、その身に菅原道真を宿していた夏樹は、白拍子と共に都を襲い始めた。
感想
あの夏樹が・・・・・・という巻です。
菅原道真の力を操りながらも、人を助けたりもする夏樹、本当に乗っ取られているのか?と気になります。
他にも美雪と権の博士の関係にも決着が見えてきそうです。
瀬川貴次 剣散華(前編) 暗夜鬼譚
集英社 コバルト文庫 2005年08月
あらすじ
夏樹を止めるため、馨に神宝・銅鉾を渡される一条。
そして馨や帝達も夏樹を救おうと集まってくる。
左大臣の屋敷を襲う夏樹。
権の博士や美雪も立ちふさがるが、結局将門の娘に一撃を加えることしかできず、夏樹を止めることはできなかった。
感想
夏樹と一条の戦い・・・・・・も気になるのですが、一番の衝撃は終わりにある夏樹の出生の秘密でしょう。
まさか!!という展開です。
序盤も帝が出てくるせいか、そこはいつものドタバタな感じがします。帝はギャグ担当だなと、しみじみ思いました。
一条が夏樹を助けたい、のに助けられないもどかしさが全体的に漂っています。
瀬川貴次 剣散華(後編) 暗夜鬼譚
集英社 コバルト文庫 2005年11月
あらすじ
傷ついた将門の娘、彼女の中には多数の人格が存在していた。
混乱する瀧夜叉の人格だが、やっと彼女は一つとなる。
そして瀧夜叉と別れを告げる夏樹、彼にはまだやるべきことがあった。
感想
完結です。
ふと今までの巻数を見返すと長いですね、文庫もスーパーファンタジーからコバルトになりましたし。
少し自己完結!?と突っ込むところもありますが、ある意味予想を裏切って良かったのではないでしょうか。
でもやはりメインは一条と夏樹です。このコンビが何だかんだと言って好きでした。
ちなみにラストはあまり私好みではないのですが。
ここだけ少しパターンになってしまったかなと思うので、前半の一条と夏樹の話の方が好きですね。
瀬川貴次 聖霊狩り
集英社 コバルト文庫 2000年09月
あらすじ
怨霊が神として祀りあげられている御霊、その御霊を管理している御霊部。奈良時代より存在しているが、今では人材も少なくなっていた。
その御霊部の一人である飛鳥井柊一は、御霊部の長老、籠目善衛に安内市の五郎神社へと向かうよう命令される。
高校生の柊一は夏期講習を欠席し、二十年に一度調査しなければならないという五郎神社へと向かうが、途中で2人の女子高生と出会う。
街を見学していると、船山高校にある森から霊的な何かを感じ、足を踏み入れてしまうが熱射病になりダウンしてしまう。偶然助けてくれたのは御霊部と非友好的な文化庁文化財保護部特殊文化財課、通称ヤミブンのメンバー楠木誠志郎だった。
ヤミブンも別件で安内市を訪れており、キリシタンの鈴を依頼者より受け取りに来ていた。
そんな時、五郎神社の宮司が行方不明となった。柊一はその行方を捜すが神社の地下のさらに下へと転落してしまう。
そして五郎神社に来ていた女子高生、熊谷早紀子と吉野萌も穴から落ちてしまう。
その柊一を探すため同じく御霊部のメンバー多野雅行は霊感の強さを見込み、誠志郎に応援を頼む。
感想
「闇に歌えば」の登場人物、飛鳥井柊一が主人公の話です。あちらでは大事な鈴をカレー漬けにされたりと、なかなか笑えるキャラだったのですが、さすがに主人公になったのでそんな悲惨な出来事からは解放されています。
「闇に歌えば」の主人公、楠木誠志郎も登場します。役割が逆転した感じですね。
「闇に歌えば」は1話完結の話が多かったのですが、これは一つの事件がずっと続いています。なので、誠志郎の登場も多く、「闇に歌えば」が好きな人にもおススメできます。
ただその「闇に歌えば」の話なんかが出てきているので、「聖霊狩り」しか読んでいない人は少し分からないところがあるかもしれません。気にせず読めることは読めますが、読んでいる方が倍楽しいのではないでしょうか。
その二人を差し置いて異彩を放っているのが吉野萌。頭の中がボーイズラブの話で一杯とは。強烈なキャラクターです。誰をどうくっつけようが本人の頭の中では勝手なのですが。
そんな事を書くと、コメディっぽく思われるかもしれませんが、軸は「闇に歌えば」みたいですし、柊一と誠志郎の掛け合いも面白です。
瀬川貴次 聖霊狩り 夜を這うもの
集英社 コバルト文庫 2001年06月
あらすじ
亡くなった五郎神社の宮司の代わりに、しばらく五郎神社に滞在する事になった飛鳥井柊一。
氏子総代の息子、桜田宗一郎と穴の修理の件も話がつくが、五郎神社では二十年に一度巫女舞いの奉納があると聞かされる。
そしてヤミブンは「入らずの森」にあいた穴の中で発見されたミイラを調査をしていた。
早紀子と萌は柊一の正体を知り、色々と協力してくれるが、ある時北山霊園で人魂を見たという情報を持ってきた。何故か二人と、二人と同じクラブで巫女舞いの舞い手、小城美也と共に肝試しに行く事になる。そこで美也は光る発行物体を捕まえる。それは20cmほどのサソリだった。
再び調査に行こうとする柊一に、萌たちは誠志郎に同行してもらうよう頼み込む。
そこへ4人に大量のサソリが襲い掛かってきた。しかし美也が唱えた詠唱により現れた、有翼の女神によりサソリは滅んでいった。
感想
少しずつ謎に近づいているかな、と言う感じです。
しかし柊一と誠志郎をくっつけようと熱心な萌に、別の勘違いをする二人が少し可哀想でした。
「闇に歌えば」では今一活躍できなかった(誠志郎達といるとドタバタになってしまうので)柊一も思う存分鈴を駆使しています、本来はこうだったのでしょう。
瀬川貴次 聖霊狩り さまよう屍
集英社 コバルト文庫 2001年09月
あらすじ
この街はどこかおかしいと感じる柊一、そして「入らずの森」では五体のミイラが忽然と消えうせていた。
隠れキリシタンだったミイラ達は、かつての主君の遺骨を集めさまよっている。それを桜田家より聞かされた柊一は、自分だけが何も知らされていなかったことに憤る。
ミイラの主君、洗礼名をじゅあんという名の遺骨は聖遺骨とされ、骨は六つに分け、それぞれ六つの場所に隠され、街を守っていた。
ミイラ達の動きを静観しようと思っていた柊一だったが、すべての骨が集められ連結していく様を見て、これでよかったのかと不安になる。そして突如ミイラ達を炎が包んだ。
感想
ヤミブンの有田克也が登場しますが、今一活躍しきれません。
逆に出番は少ないが、忘れられないのが籠目部長です。人の心が読めるサトリ、その能力で萌の考えを読むのは無謀です。若い子の考えは分からない、最もでしょう。
だんだんと御霊部とヤミブンが絡んできて、「闇に歌えば」を思い出します。
瀬川貴次 聖霊狩り 天使のささやき
集英社 コバルト文庫 2002年03月
あらすじ
ミイラ達は跡形もなく消滅してしまい、怪我を負ったヤミブンのメンバーは東京へ帰る事となる。
クラブで学校に来ていた早紀子と萌から、「入らずの森」で首だけの天使を聞いた柊一は早速「入らずの森」へ向かうが、何体もの天使に襲われる。
柊一を助けたのは桜田宗一郎の弟、裕樹が召還した異形の獣だった。
部室の近くの森から化け物が出るかと思うと安心して漫画が描けないと嘆く早紀子達に、裕樹は五郎神社で描くことを勧める。早速五郎神社に引っ越す準備をする早紀子だったが、途中美也と宗一郎の関係を見てしまう。
一方東京に戻った誠志郎は自費で安内市へ戻ることになり、出費を浮かせようと途中で出会った早紀子達と五郎神社へ向かう。
しかしそこに何十羽もの天使たちが襲ってきた。
感想
ミイラは消滅してしまい、謎は土地の持つ力が焦点になってきます。一度は戦線離脱かと思われた誠志郎も戻ってきて、「聖霊狩り」では初の魂鎮めの歌を歌います。
懐かしいですね。誠志郎にとって霊感以外の唯一の特技です。
瀬川貴次 聖霊狩り 惑いし子ら
集英社コバルト文庫2002年11月
あらすじ
五郎神社に留まり続ける柊一と誠志郎。二人は何かの予兆を感じる。
安内市では封印がなくなった事により地震に襲われ、ヤミブンは耕作と克也を安内市に向かわせる。そして宗一郎は結界の封印のため生贄として早紀子に手を伸ばす。
感想
やっと一連の騒動への結末へ向かい始めます。
そして、何に笑ったかというと雅行の行動です。籠目部長に続き萌の思考を知ってしまったため、悪ノリしているのでしょうか。
そしていよいよ宗一郎もその本性を現します。
瀬川貴次 聖霊狩り 贖罪の山羊
集英社 コバルト文庫 2003年04月
あらすじ
萌とともに宗一郎に捕らわれた早紀子、それに気づいた柊一と誠志郎は早紀子の捜索に向かう。早紀子が捕らわれているのを知った美也は、誠志郎達に協力を求め、宗一郎に対抗しようとするが、その宗一郎の背後にはじゅあんの姿があった。
感想
安内市の事件完結です。
展開自体はまったく先が読めないというものではありませんが、この文章のあっさり感がたまりません。
主人公の柊一がものすごく強い、というわけではないので、結構捕まったりしています。ちょっとした恋愛問題に巻き込まれたり、色々な事に巻き込まれてます。カレー事件といい、誠志郎に比べ災難が多いですね。
瀬川貴次 聖霊狩り 死の影の谷
集英社 コバルト文庫 2003年07月
あらすじ
「死の影の谷」
安内市の事件も終わり、早紀子と萌は部誌発行のため漫画の作成に取り掛かっていた。
あの事件のじゅあんをモデルにした萌の原稿のために、早紀子は中年のおやじ城主を描くが、時折誰かの視線を感じるようになる。
やがてそれははっきりと早紀子たちの前に姿を現す。
「胡蝶の城」
幽霊が出たという四百年以上前の城に、その霊を鎮めるため柊一がやってくるが、女の幽霊の他に鎧武者も現れた。
更にその女の幽霊は当初思われていた人柱にされた女性の幽霊ではなく、お姫様の幽霊だった。
「水底からの声」
誠志郎、耕作、克也のヤミブンの三人は道に迷いある川へと出てしまう。
飛び出したオサキを追った誠志郎はそこで呪詛(スソ)を見つける。
再び車を走らせるが、誠志郎たちは同じ道に戻ってきてしまう。
仕方なく怪しい民宿に泊まることにするが、そこで誠志郎は何かに襲われる。
感想
短編集です。
「死の谷の影」は解決方法が笑えます。そういえば早紀子達は漫画を描いてたんですよね。まさかそれが事件を引き寄せるとは。
「水底からの声」、パターンなところもありますが、克也の過去が分かります。そういえば克也はおばあさんが趣味だったなというのを久々に思い出しました。アヤさん、「闇に歌えば」を読んでる人には懐かしいです。
瀬川貴次 聖霊狩り 死者の恋歌
集英社 コバルト文庫 2004年03月
あらすじ
京都に住む祖父に会いに新幹線に乗る柊一。
そこで偶然早紀子と萌に再会し、京都を案内する約束をする。
美也を含めた4人で骨董市を訪ねた柊一達は百人一首の札を手にするが、そこから柊一と早紀子の体に変調が起こり始めた。
柊一が何かに取りつかれているのを偶然に目撃した誠志郎は、柊一とともに早紀子達の元へ向かう。
感想
祖父に結婚を勧められるのもそうですけど、札に取りつかれたりと、柊一には災難が降りかかります。
以前はその力を使い、早紀子達を助けたたりもした美也ですが、女神を召喚できなくなっています。そして彼女は今回で転校してしまいます。
瀬川貴次 聖霊狩り 呪われた都市
集英社 コバルト文庫 2004年09月
あらすじ
東京に行くついでに美也の所へ泊るつもりだった裕樹に便乗し、ともに東京へ行く早紀子と萌。
裕樹の用事とは御霊部への挨拶だったが、そこで裕樹が召喚したムシュフシュを殺したオサキ使役者の耕作と出くわしてしまう。
柊一は翌日早紀子達や多野とともに鎌倉にトリプルデート向かうことを約束し、翌日鎌倉へとやってくるが、そこで早紀子は着物を着た幼い少年に出会う。
感想
早紀子を挟んで妙な関係ができかけています。
そしていやに霊体験をしてしまう早紀子。また巻き込まれてしまいます。
再び萌と再会した籠目部長が笑えます。彼女の思考はシャットダウンしても入ってきてしまうみたいです。
多野の悪ふざけも健在です。
瀬川貴次 聖霊狩り 蠱惑のまなざし
集英社 コバルト文庫 2005年04月
あらすじ
誠志郎は鎌倉で柊一や早紀子達を見つけるが、ヤミブンに反感を持つ裕樹は美也とともに帰ってしまう。
その後、依頼のため箱根の美術館に来た誠志郎たちは、壁の表面、平面を移動する絵を目撃する。
観光の続きをしようとしていた早紀子達は、美也の母の勤め先の社長山科時経、司條タケルとともに江ノ島へ行くが、そこで裕樹は召喚の感覚を覚え、ムシュフシュを呼び出そうとする。
感想
裕樹の子供っぽさがかわいいです。
そしてお風呂で石鹸と戯れるオサキがかわいい。
しかし、よくばったりと出くわす誠志郎と柊一ですね。それが「聖霊狩り」のパターンなのでしょうか。
瀬川貴次 聖霊狩り いにしえのレクイエム
集英社 コバルト文庫 2006年06月
あらすじ
源実朝の霊に取りつかれた早紀子、その原因は時代ネタの漫画を描きたいと言ったことが原因だった。
仕方なく早紀子は美也と修一、山科と司條をアシスタントに鎮魂のため漫画を描き始める。
なんとか夜明け前に完成した原稿を手に早紀子達は鶴岡八幡宮へ向かうが、巫女と人の形をした影達に邪魔され、原稿を失ってしまう。
再び山科の事務所に戻ってきた柊一達は誠志郎と克也と出くわし、もう一度鎮魂のため耕作も巻き込み漫画を描きだす。
感想
漫画の修羅場って怖いですね。皆巻き込まれながら漫画を描いている姿に笑いながら読んでしまいました。
美人な美也や大人な山科達が一生懸命少女漫画を描いてる図を想像するだけで笑えます。
そしてやっと早紀子も安内市に帰れます。
しかしここから最後の事件の始まりになります。
瀬川貴次 聖霊狩り 邪龍復活!?
集英社 コバルト文庫 2006年09月
あらすじ
美也の母が事故に遭う。
彼女はその事故の際、白いワンピースを着たスクリーンの映像のような女の子を目撃していた。
その能力から柊一は山科を疑うが、犯人は山科の父時重だった。
そして早紀子を心配して横浜に入れ違いに来ていた裕樹は、奇妙な夢を見ていた。
感想
せっかく再び横浜に来たのに早紀子と入れ違った裕樹、行動の空回り具合に同情します。
後半には久々の、というか聖霊狩りでは出てこなかった誠志郎の友達、安芸和宏と誠志郎の短編が載っています。
「闇に歌えば」から読んでる人には懐かしいです。
そういえば誠志郎は和宏にボーカルをやれとさんざん言われてましたね。
瀬川貴次 聖霊狩り 神に選ばれしもの
集英社 コバルト文庫 2008年02月
あらすじ
誠志郎は鎌倉の仕事へ向かう途中でばったり柊一に出くわす。
仕事の内容を聞いた柊一は鎌倉での変異を見逃せないと同行することにした。
そこで鎧兜に襲われる柊一だが、そこに現れた裕樹によって助けられる。
その裕樹の普通でない様子を心配する柊一、誠四郎も裕樹に何かよくないモノが憑いているのではと疑う。
そして御霊部に恨みを持つ山科時重は神霊の器として美也に目を向ける。
感想
歪んだ時重に逆らえないタケル。
何かに操られているような裕樹。
そして行方不明になった美也。
いよいよ大詰めです。
瀬川貴次 聖霊狩り 愛しいひとのために
集英社 コバルト文庫 2008年06月
あらすじ
残された鎌倉の結界を守るため手を結ぶ御霊部とヤミブン。
しかし結界の一つは失われ、最後の一つを守る柊一達に山科時経も協力を申し出る。
そして美也に取りついた公暁、裕樹に取りついた宇賀神も現れるが、美也を心配して鎌倉まで来た早紀子達の助勢もあって美也は何とか取り戻す。
美也の体を失った公暁に、時重は自らの体を差し出す。
感想
最終巻らしく、再び全員集合です。
時経も柊一達と共に戦います。一人時重の呪縛の元に残ったタケル、彼にも重大な決断の時がきます。
序盤だけしか出てこないと思っていた早紀子達が、最終巻まで出てきます。
本音を言えば「闇に歌えば」も合わせてまだまだ読み足りないという感じが拭えません。
作品数が多くてどこから読むか悩むかもしれませんが、瀬川さんの小説は一度読んでみてください、と言える小説だと思います。
瀬川貴次 闇はあやなし 地獄の花嫁がやってきた
集英社 コバルト文庫 2009年01月
あらすじ
血筋だけは良い貧乏貴族の暁信は、乳兄弟の実唯と共に花嫁探しに奔走する。
しかし顔は良いが世渡り下手な暁信は玉砕続きな上、不名誉なあだ名までつけられてしまう。
しかし今度こそと思い繁子という姫の元へ通うが、そこで怪異に襲われた上、怪閻魔大王の娘と言う夜魅姫に襲われる。
暁信は時々本の少しの間だけ常人以上の力を発揮できたため、何とかその場を切り抜ける。
だがその結果夜魅姫に求婚され追い回される羽目になってしまうのだが、暁信は繁子の女房多佳子が気になり始めていた。
感想
挿絵のせいか今までの作品と違いぐっとライトノベルという感じがしました。
マスコット的な夜魅姫など、普通に面白い瀬川さんの作品には必要ないのでは?と思ってしまいました。
私はこういうマスコット的なキャラがあまり好きでなく、なのでいつもよりおススメ度は低めにしています。
もう一つの原因はちょっと他と違い、ざっと展開が読めてしまう所でしょうか。
ただそれは他と違い文章の読みやすさにあるのかもしれません。
ストーリー的には今風ですし、瀬川さんの過去作品がちょっと硬くて読みにくいという方にはここから入ってもいいのではないでしょうか。
瀬川貴次 遊びをせんとや 地獄の花嫁がやってきた
集英社 コバルト文庫 2009年04月
あらすじ
実は賀茂の斎院だった多佳子の誘いで、斎院御所を訪ねる暁信。
そこに現れた夜魅姫は、無理やり暁信達と多佳子の女房蘭子を地獄へと連れて行く。
何とか夜魅姫を諌め現世に戻る事が出来た暁信達だが、その時から蘭子が変調をきたす。
更にどうにか暁信を振り向かせたい闇姫は、北斗丸と南斗丸を現世へ解き放った。
感想
何と言うか、夜魅姫がむちゃくちゃです。子供ゆえでしょうか。
やはり前回同様展開が読め、多佳子の特技などもなんだかな~と感じてしまいました。
笑える要素もあるのですが、笑える要素はなくても暗夜鬼譚などの方がどうしても面白いと思ってしまいます。
ですが、文庫的にはこちらの方が合っているとは思います。
瀬川貴次 鳥にしあらねば 地獄の花嫁がやってきた
集英社 コバルト文庫 2009年07月
あらすじ
閻魔大王の娘、夜魅姫。その彼女に迦楼羅王が花婿候補に名乗りを上げた。
しかし暁信を慕う闇姫は迦楼羅王に見向きもしない。
暁信にも一撃食わされた迦楼羅王は夜魅姫を攫い無理やり結婚を成立させようとするが・・・・・・
感想
意外と夜叉王が好きです。良いキャラクターですよね、美形だけど報われない姿は憐みを誘います。
良い性格という意味では夜魅姫もそうですけどね、今回も攫われながらも暁信が助けに来てくれるのをわざと待っていますし。
何故か息が合う多佳子と夜叉王が読んでて楽しかったです。
瀬川貴次 月の船星の林 地獄の花嫁がやってきた
集英社 コバルト文庫 2009年10月
あらすじ
閻魔大王に呼び出された夜叉王たち、そこで閻魔大王ではなく帝釈天より閻魔大王が演出した騒乱の話を伝えられる。
演出だと聞かされず、帝釈天に無理やり妻にされかけた夜魅姫は暁信に助けを求めるが、彼らの元にも帝釈天の手が伸びてくる。
実は騒乱は演出ではなく、その地位を狙う帝釈天自らが画策したものだった。
感想
最終巻です。序盤の予感の通りの結末がちょっと残念でした。
パターンといえばパターンですが、今まで出てきたキャラ、全員集合していますす。
気になっていた暁信と多佳子の関係は、そこそこの決着は着いたかなと思います。
ただ何となく現代かぶれ的な所があるのが気になってしまいました、別にいいんですけど気になる人は気になるのではないかと思います。
瀬川貴次 魔王は甘くささやく
集英社 コバルト文庫 2010年02月
あらすじ
ロマンス小説が大好きな少女エリザ。古書好きの父とメイドのマーサと暮らしていたが、父は最近被害が増えていた奇妙な狂犬病に感染し死亡してしまう。
父の死後借金問題も発覚し途方に暮れるエリザだったが、以前父を訪ねて来たギリアンが古書を高値で買い取ると申し出た上に、エリザに求婚する。
美しい男性からの求婚に心が揺れるエリザだったが、ある時ポーの詩集を口にすると、それが現実に起こる事に気づく。実はエリザは魔女の血をひいていると父から聞かされていた。
やがて父が死んだ時に知り合った警部ジェイクと狂犬病の謎へと近づいていくが、ギリアンとジェイクにはある繋がりがあった。
感想
前回の「闇はあやなし」がかなり瀬川さんの中では異色な気がしたので、今回はどうだろう、と思ったのですが面白かった。
純粋に少女小説として面白いと思いました。展開なども難しいわけではなく、またジェイクがかっこいいです。
鈍感なくせに部下のケビンの言うまま花束を持ってきたりと、なかなかツボを突いてます。
最初は王道的な金髪美形のギリアンに惹かれますが、だんだんジェイクが気になり始め、という展開ですが、ここは瀬川さん。色々事件が絡んできます。
ホラー風味のファンタジーといった感じでしょうか。純粋に事件自体も、恋愛面自体も楽しめます。
瀬川貴次 死がふたりを分かつとも 魔王は甘くささやく
集英社 コバルト文庫 2010年05月
あらすじ
海辺の教会で臨時の教師として働き始めたエリザ。そこに上司に付き合わされた降霊会で「海から悪いものがやってくる」と聞いたジェイクがエリザを心配して尋ねてくる。
不安は的中し、二人は波打ち際で死体を発見する。
更に降霊会での言葉が気になるジェイクはそのウェルズという男の遺体をもう一度確認に行くが、そこで何者かに襲われ倒れてしまう。
やがて死体だったウェルズは妻のセシリアを捜しボストンの町を歩きだす。
感想
再び事件も起こりますが、どちらかと言うとライバル登場編!と言いたい巻です。
顔を合わせればケンカしてしまうエリザとジェイクですが、なんだかんだと仲がいいなと思っている所に上司の娘が登場です。
パターンと言えばパターンですが、上司の娘ナンシーがこれぞライバルと言う性格をしているので楽しいです。
そして再びギリアンも登場です、ギリアンからエリザを助けようとするジェイクがかっこいいです。
クッキーをかじるジェイクも可愛いです。
一巻目に続き、全く面白さは衰えていません、面白かったです。
