杉原智則 小説一覧

[烙印の紋章]
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烙印の紋章たそがれの星に竜は吠えるたそがれの星に竜は吠える

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2008年05月

決して外れる事のない仮面をつけられメフィウスで剣闘士として戦うオルバ。
ある時、ガーベラの姫ビリーナとの婚礼を控えたメフィウスの皇子ギルが死亡する。
長年彼の素顔を隠していた仮面が外され、フェドムによりオルバは瓜二つの容姿だったギルとすり替えられた。

しかし婚姻による戦争の終結に反対するガーベラの騎士が反乱を起こし、オルバ達へと襲いかかる。
反乱軍を鎮圧するためビリーナを旗印に軍を率いるオルバ、彼は再び仮面を身につけ敵陣へと乗り込む。

一言で言えば面白かった。
入れ替わりという、ある意味よく使われるネタですが、またかと思わせずに引き込まれました。
主人公がそっけないだけの寡黙な性格かと思いきや、ギルを演じている時の戸惑いなど笑いを誘う場面もあり、シリアス面といいバランスを保ってました。
ヒロインもオルバの寝首をかくかと言う気の強さで、決して協力し合うわけではないこの二人のやりとりも楽しい。

ただギルという名のオルバの人物の第一章、と言う感じなので、まだこれからという感じで終わっています。
もちろんこの巻での最大の目的は達せられているので問題ないのですが、かなり伏線があり、続きが非常に気になります。
それだけ私は面白かったと言う事ですが。
しっかりと引き込まれる文章でしたので、どちらかというと重厚なファンタジーを読みたい方に。

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烙印の紋章(2) 陰謀の都を竜は駆ける

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2008年11月

メフィウスの王子ギルとして初陣で勝利を収めたオルバ。
都へと帰還するが、そこで反皇室派の動きを耳にし、内情を探るため大剣闘大会にオルバとして出場する。
目論見通り剣闘士のパーシルより、蜂起の詳細を耳にする事が出来たオルバはそれを封じるため行動を始める。

一巻の面白さを消す事無く一気に読む事が出来ます。刊行済みの7巻まで一気読みしてしまいました。
とにかく面白かったです。
影武者としてのギル、そして元剣闘士の近衛兵としてのオルバ。
今回活躍するのはオルバの方でしょうか。大剣闘大会出場や情報収集と出番が多いです。

婚約者のビリーナはギルと少し間を詰めようとしますが、義妹のイリーナは今回の件である疑問を持つ事になります。
二人の共通点は両方ともオルバにも興味があるということでしょうか。性格は合いませんが。

反皇室派の謎を解くためオルバは古巣の剣闘士達の中へと一時戻り、オルバはパーシルの信頼を得るため色々と画策します。本来はパーシル寄りの考えの持ち主だと思うのですが、それらを全て振り切るほど、故郷を襲った仇であるオーバリーへの憎しみが強いのだと思います。
オルバが王子ギルを続けるのは、その復讐の機会が王子であれば訪れるだろうと読んでいるからです。

そしてメフィウス王であるグール、狂気を見せるその言動にメフィウスのその後が気にかかります。

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烙印の紋章(3) 竜の翼に天は翳ろう

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2009年04月

メフィウス王グールの命令によりアプターの守将に任じられたオルバ。
婚約者であるビリーナも連れアプターへと到着するが、タウーリアの兵が迫っていた。
恩を売りたいガーベラのノウェの援軍もあり難なくタウーリアの兵を退けるオルバは、タウーリアの領主アークス・バズガンに会見を申し込む。
しかしそれはオルバの罠だった。その策にわざと乗ったアークスは、再びアプターへと攻め込んできた。

兵を使う事、そして情報を得る事の大切さを実践しているなと感じた巻でした。

元々オルバは情報を大切にしていたようですし、これを上手く使えれば王にも・・・・・・と言う所ですが、場所は変わってメフィウスではなくアプターと言う辺境です。
同行者に前巻に出て来た剣闘士パーシルもいます。そして策謀をめぐらせたノウェとは一時休戦です。
今回敵対するのは隣国タウーリアの領主アークスです。

前回どちらかと言うと謎解き、という戦いでしたが、今回は兵を率い剣を交える戦闘です。
そしてオルバとビリーナの関係にも少し変化が出て来たでしょうか、本当に僅かな変化ですが。

そしてもう一つのカギは、アークスの娘エスメナが呟く「ガルダ」です。

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烙印の紋章(4) 竜よ、復讐の爪牙を振るえ

おススメ度 8

(角川)電撃文庫2009年08月

兄の死を付きつけられたオルバ。その兄の仇であるオーバリーがやっとアプターへと到着する。
復讐を果たしたいオルバだが、仇を見つける手段の為のギルという王子の立場が邪魔をした。
しかしそこに以前襲われた山賊のアジトを発見したと連絡が入った。その山賊の頭は昔の喧嘩仲間のダグだった。

一方ガーベラとエンデでは双方の王子が率いる軍により開戦目前となっていた。
復讐を果たし、ガーベラへの援軍として駆け付けようとするオルバだが、メフィウス王グールがそれを阻もうとする。

とうとう仇であるオーバリーに復讐を果たしたオルバ。
そのせいか、後半は責任感だけで動いている感じでしょうか。
オルバとしての目標は前半までだったのでしょう。

ギルが本物ではないと感づいたイリーナ、ギルに思いを寄せるエスメナ。
そしてまだ戦乱の予感をはらんだメフィウスとその周辺諸国。
それらを残し第一部完結です。

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烙印の紋章(5) そして竜は荒野に降り立つ

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2010年03月

ギルはオーバリーにより暗殺されたと偽装し、オルバはただのオルバに戻り姿を消した。

オルバは剣闘士時代の仲間のシークとギリアムと共に、タウーリアの傭兵となっていた。
タウーリアを含むタウラン全域は魔道士ガルダの脅威に晒されており、オルバ達は援軍としてヘリオへと進軍する。
しかしガルダ軍と対峙する最中、ヘリオの傭兵団の首領グレイガンがヘリオの王位を簒奪する。

負傷したタウーリアの将軍ボーワンと共にからくも戦場を脱出したオルバ達は傭兵仲間のクルンにより、ヘリオの将軍ラスビウスに引き合わされる。
そこには本来のヘリオの王ハードロスの孫、ロージィがかくまわれていた。

影武者とはいえ一国の王子の身分だったオルバでしたが、今回からはただの一兵卒になります。
前回復讐を果たした事でどうするのかと思ったら、ギルとしての全てを捨てました。
王子の地位は本来彼の物ではないのですが、戦火を上げる度、そして各国の要人たちとの関わりの中より本物らしくなっていたのですが。

今までは王子として軍の采配をしてましたが、今回は自ら前線に出てその場その場での対応が求められます。
その違いのもどかしさがオルバの中で苛立ちとなります。
もう少し早く気づいていれば、もう少し自分に兵があれば。

しかしまた望む望まないにかかわらず権力の中枢へと巻き込まれていきます。
もちろん顔は隠したままです。タウーリアでは目立ちますし、以前のオルバとは別の仮面をつけています。

そしてヘリオの売国后と蔑まれたマリレーヌ。
オルバは彼女にある女性を見ます。
一心不乱に助けに向かったオルバに、確実に彼女が影響を与えているのでしょう。

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烙印の紋章(6) いにしえの宮に竜はめざめる

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2010年07月

ヘリオを奪還したオルバ達だったが、未だにガルダの脅威は続いていた。
アークスよりタウーリアの小隊を任されたオルバはカダインへと攻め入る。しかしそこでは魔術の罠が待ち受けていた。

一方タウーリアではアークスの甥ラスワンが王位を簒奪しようとしていた。しかしその窮地を救ったのはアークスの娘エスメナだったが、そのエスメナにガルダの手が迫っていた。

「使えない将は、手ごわい敵より性質が悪い」というオルバの言葉通り、戦闘面ではオルバは苦戦します。自分自身の腕ではなく上司と反りが合いません。
本文にも書いてありましたが、ノウェやラスビウスは利や義の為になら信頼のおける人物でした。しかし今回のスルールは全く二人とは違います。
前巻より一層王子でいた時との違いを実感しているのではないかと思います。
復讐を果たした事でただ戦場にいる、という状態に近かったオルバが再び策をめぐらしていたギルに戻って来たような気がします。

そして今回のヒロインはビリーナではなく、エスメナですね。

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烙印の紋章(7) 愚者たちの挽歌よ、竜に届け

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2010年12月

婚約者であったギルの死後もメフィウスに止まるビリーナは、アプターでギルと共に戦った近衛兵に会いにローグ・サイアンの元を訪れる。
そこでホゥ・ラン達と再会するビリーナ。ギルの死に疑問を持つ彼女はホゥ・ランと共に再びアプターへと向かった。
しかしそこでメフィウスがタウラン征伐に乗り出したと知る。

久々のビリーナの登場、今までとは打って変わって彼女が主人公の様な巻です。
少しずつギルとの物理的な距離は近づきますが、周りで起こったのはメフィウスのタウランへの侵攻。
オルバは自分の国の者達と剣を交えます。
メフィウスがタウラン侵攻を開始したのは、ギルを暗殺したのはオーバリーではなくタウーリアの手によるものとの情報をグールが得たからです。真の真相は分かりませんが。
ガルダの件が片付いたわけでもないので、そちらの動向も気になります。

そこでビリーナもかなり危ない橋を渡ります。久々に彼女の行動力が発揮されますが、その結果がどうなるか気になります。
そして何より気になるのがオルバ。
以前ギルとして会話を交わした事のあるタウーリアの将軍ボーワンと戦場で言葉を交わしていると、折り重なった死体の中から覗く銃に気づきます。
そして撃たれたのはオルバの仮面。ここで切るか!という所で終わっています。

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烙印の紋章(8) 竜は獅子を喰らいて転生す

おススメ度 8

(角川) 電撃文庫 2011年04月

メフィウスの侵攻より西方を救ったオルバは、銃撃を仮面に受けボーワンの元で治療を受けていた。
目が覚めたオルバは、ビリーナが行方不明だと知り捜索に向かおうとするが、タウーリアとメフィウスが戦闘状態の為メフィウス人であるオルバはシークに捜索を咎められる。
そしてオルバはある決意と共に、シークに手紙を託す。その手紙を携え、シークはメフィウス領であるアプター砦のローグ・サイアン将軍の元へと向かった。

前回仮面を銃撃される、という所で終わっていたので正体がばれるのかどうかと非常に続きが気になったのですが、とりあえずばれてはいません。
オルバに戻った時からそうでしたが、ギルという王子の身分ではないためにオルバの行動範囲が限定されます。
更にビリーナの行方不明、という事が拍車をかけオルバの内面をかき混ぜます。戦闘面以外では淡々とした印象のオルバの内側にビリーナは入り込んでいたのでしょう。

オルバ自身もアプターへ向かいますが、その途中ビリーナを発見します。
彼女を庇護したのは、本物のギルが死ぬ原因となった元近衛兵のローンです。本物のギルとはかなり因縁のある人物。
そして、決意と共にオルバが向かう先でも、またかつての仲間達がいます。

オルバが自分がどうしたいのかと悩みます。ギルに戻る事の意味に悩みます。
出した結論の先、それが次巻となるので、8巻目は通過点の一冊という感じです。

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あ行 か行 さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行