桑原水菜 小説一覧

[真皓き残響]
琵琶島姫/氷雪問答/奇命羅変/十六夜鏡/仕返換生/神隠地帯/蘭陵魔王/生死流転/獅子喰らう/獅子燃える
[イルゲネス]
(上)

真皓き残響 琵琶島姫

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2008年02月

影虎と晴家は村を襲うおなご武者の亡霊とそのおなご武者を率いる騎馬武者の話を聞き、調査に乗り出す。騎馬武者は「お恨み申します。影虎様」と呟いていたという。しかし晴家は女武者に連れ去られてしまい、影虎は晴家を助け出そうと旅の化粧師、河鹿に協力してもらい、おなご達の家へと潜入する。
一方別行動を取っていた直江と長秀は、調伏しそこなった長尾政影を追い、おなごの怨霊の事を知る。
そして色部も影虎達を追う。

炎の蜃気楼邂逅編の8冊目です
とうとうこのネタを使ったか、と思いました。直江の期待を裏切られた姿が笑えます。必死で誤魔化そうとする景虎にも笑えますが。

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真皓き残響 氷雪問答

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2008年07月

「氷雪問答」
雪の中直江が宿に戻ると、影虎と晴家は白拍子を名乗った真っ白な大蛇と騒いでいた。
あきれる直江だが、この大蛇は千年を生き竜神となる途中に失敗し、もう一度竜神になろうとして景虎達に助けを求めてきていたのだ。実は弥彦の神様に天帝に取り成してもらおうとしていたのだが、その弥彦の神様に取り次ぎをする天狗に、問答に正しく答える事が出来れば弥彦様に取り次ぐと言われていた。
求めに応じた景虎は天狗と互角の問答をするが、大天狗のつららが現れ一人ずつに謎かけを用意し、すべてに勝利したら弥彦神に取り次ぐと持ちかけられる。

「傾奇恋情」
先に一人、新発田の城下に来ていた長秀は、ド派手な格好をした傾奇者の矢次郎にまとわりつかれる。矢次郎には古霊が張り付いており、放っておくわけにもいかず長秀は矢次郎に振り回される。

影虎達は、城下で城の周りを妙見札を掲げて練り歩く怨霊の捜査のため、古四王神社へとやってくる。
そこで怨霊達に妙見札を配る巫女を発見するが、見失ってしまう。
強引な手法を取る長秀と反発しあう影虎だが、巫女の行方を探るため二人で城へと向かう。

炎の蜃気楼邂逅編の9冊目です。
今回は少し骨休み的な感じがしました。
直江の挿絵がどれ一つまともなものがありません、どれも少しコメディ顔です。
氷雪問答では直江のつっこみが面白い。三枚目な役所でした。天狗との知恵比べでは生真面目なのでまともな考え方しか出来ず、苦悩しながら淡々と答えを出す影虎に内心でこそこそとつっこみ。 最初の白拍子を呼んで騒いでいると思い込んでつっこみ。
読んでいて楽しかったです。
そしてあまり本編で書かれなかった、影虎が息子とどんな遊びをしていたかもわかります。

傾奇恋情はこれも影虎、長秀、勝長の3人でのつっこみが面白い。特に最後の3人のつっこみは最高でした。
本編ではあまり目立たなかった長秀の役回りが何とも言えず、結構苦労してるなと苦笑いです。

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真皓き残響 奇命羅変

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2008年08月

燃えるという噂の水、草水。
怨霊が絡んでいるのではないかと考えた景虎は、燃える水を精製しているという里へ向かうが、そこには結界が張られ景虎は幻惑にとらわれてしまう。

排他的な里だが、河鹿のおかげで何とか客の身分として里に留まる事が出来るようになった景虎は、更に里長から熱心に仲間になることを勧められる。

一方行動を別にしていた直江達は綺命羅と名乗る者達に襲われていた。

直江が踏んだり蹴ったりの印象でした。
またまた景虎の変装を見ることができますが、それにより河鹿への疑問も湧きあがってきます。
そしていよいよ框一族への確信にも近づきます。

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真皓き残響 十六夜鏡

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2010年05月

景虎達は拠点となる寺で、月が出ている夜だけ亡くなった者が映るというある鏡の相談を受けた。
景虎がその鏡を覗き込むと、そこに武田信玄が現れ、冥界から越後を攻めると告げる。
更に三つの赤い球体が雷となり落ちるが、その球体は冥界の住人がその身のままこの世に戻るための卵だった。
景虎達は武田の武将たちが眠るその卵を破壊しようとするが、そこへ框の一族が襲いかかる。

なんというか騙されて騙されて、の巻です。
後手に回るというわけでもないのですが、夜叉衆としての経験値が足りないのかなと。
黒幕っぽい蘭陵王と楊貴妃など、さらに敵が増えてきます。

今回はみな災難にあいますね。
景虎や色部さんは球体に取り込まれてしまいますし、晴家は弟の次郎三郎と再び対面しますし、長秀にいたっては敵に吸収されたり。

でもこの時点ですでに景虎が直江の事を最も息が合うといっているのはニヤリなところ。
更に景虎が歌っているのもニヤリなところ、音声付で読みたかったです。

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真皓き残響 仕返換生

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2011年05月

「亡霊双六」
色部は夜の辻で面妖な女に声をかけられた。
その女に誘われ奇妙な双六へを始めてしまった色部だが、出た目の内容を実体験するその双六にだんだんとのめり込んでしまう。

「赤衣観音」「仕返換生」「仕返換生・弐」
景虎と共にかつての居城近くへとやってきた直江は、妙な感覚と執拗な気配に悩まされていた。
直江の縮体の記憶が蘇りつつあるのではないかと疑う景虎の前に立ちふさがったのは、その直江の本来の持ち主、九郎左衛門だった。
更に直江に付きまとっていた九郎左衛門の知り合いの椒七郎は、死んだと思っていた九郎左衛門の中が別人だと気付き、別の体に宿った九郎左衛門と共に本来の体を取り返そうと画策する。

亡霊双六の方は、色部の俗っぽさが出ていました。
本編で印象が薄いせいか、出番の多い邂逅編でも、どうしても色部は印象が薄いです。
う~ん、ちょっと意外な感じでした。

仕返換生は以前の景虎のように、今度は直江が本来の体の持ち主である九郎左衛門の記憶に悩まされます。
もちろん怨霊退治のストーリーはあるのですが、本編を思い起こす景虎と直江のやりとりの方についつい気を取られてしまいます。
こんな状態のまま400年も過ごしたら、直江もプツンと切れそうだなと。
そんな直江の上に立ち続けたのだから、景虎は更にその一枚上手をいくのでしょう。

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真皓き残響 神隠地帯

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2012年04月

景虎達は子供たちが神隠しに合い、数日後神通力を持ち戻ってくるという事例が発生していると聞き、調査を開始する。
その中の子供の一人、未来が見えるようになった小平太から神隠しにあった子供たちは“あちら”の世界へ行き、その世界の自分と体の一部を尼によって取り換えてもらい戻ってきたと聞く。
長秀は勝長が行動を共にする尼僧、寿心尼が怪しいと忠告するが、勝長はその懸念を一蹴する。
更に直江は小平太から景虎の命があと少しだと告げられた。

ちょっと現代編の文章に戻ったような印象を受けました。
怨霊調伏の使命の区切りについて、の話は、400年後を知っているので、最初の換生の時にこの話題が出てくるとは思いませんでした。
怨霊調伏の使命の区切りについて先延ばしにしたのは景虎、明確な答えもせずに。
このあたり高耶の景虎は違うなとしみじみ思いました。
最後の一人になるまで換生すると言い切ったあの直江が、この時ではもう換生したくないというのですし、こちらもやはり橘とは違いますね。

小平太があちらの世界へ行ったことにより得た力で直江が自分の家来になるのを見たため、直江を家来として扱っていますが、その時の景虎の反応は現代と一緒ですね。
こういう本編を思い出させる要素が詰まっていてこの巻は読んでいて楽しかったです。

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真皓き残響 蘭陵魔王

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2012年12月

死を選ばず生きることを望んだ景虎。目が覚めた時、その魂は六郎太の体へと換生していた。
六郎太の体を奪ってしまった事を嘆く間もなく、景虎は小平太と同じく神隠しにあった六郎太の体を利用し、蘭陵王の元へと潜入する。
そこで景虎は楊貴妃の人格を持つ寿心尼、そしてオギの里の里長十四朗と再会する。

この世に蘇ってからの夜叉衆の中で、初の換生者が景虎。しかも胎児への換生ではなく子供への換生。
とっさの事だったとはいえ、直江にその姿を見られたくないと思うのは、直江という存在がすでに強いからなのでしょうね。
更に自分がそばにいなかったので景虎を死なせてしまったと、景虎を以前よりかばう直江にいたたまれないのでしょう。
でもその関係がやっぱり読んでいて高耶と直江だなと思って、読む方は嬉しいです。

でも今回は勝長がかっこいい。
寿心尼に対して「私のものになれ」はよかった。こんな事言われたら惚れちゃいますよね。
勝長は本編では出番が少ないので性格とか掴みづらいのですが、本当に邂逅編ではいい感じです。

あと直江が主は景勝ではなく景虎と言い切るあたりもよかったです。

蘭陵王の正体もわかり、框一族などの伏線も回収できました。
現代では一番景虎を気遣っていた晴家の裏切りはどう転ぶのか。
最後に選ぶのは誰か分かっていますが、あの晴家が一番最初の換生で裏切ったのはちょっと意外でした。
もちろん弟への色々な思いがあるとは思うのですけどね。

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真皓き残響 生死流転

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2013年11月

子供の姿へと換生した景虎は、その姿を利用し景勝への反抗軍に加わっていた晴家を説得するため新発田城へ潜入する。
自分を亡き景虎の遺児だと偽り晴家と再開した景虎だが、晴家は景虎の説得に耳を貸さず直江達を間者としてとらえてしまう。
しかし景虎は晴家にある違和感を覚えていた。

最後の最後で生前のしがらみを持ってきましたね。
まさか景虎が自分自身の子供だと偽るとは。微妙な心境でしょうね。
直江は父親と勘違いされますし、なんだか笑っちゃいます。

さて、長秀から景虎に対する姿勢を指摘された直江。批判するこそが忠義、だから景虎より先に死なない、景虎が存在する限り換生し続ける。
「神隠地帯」で換生したくないと言った直江が、換生し続けるという。
これがある意味二人の出発点ではないでしょうか。
互いの立場と関係に悩んでいた直江の落としどころ、そしれそれがこじれるのが現代編ですが。
夜叉衆として再会した景虎と直江、それが現代に続く関係性を築く前段階も邂逅編の読み所ですよね。
それと合わせて本編ではいまいち活躍できなかった色部さん、男のままの晴家、長秀はそれほど変わらずかな?でも武人の印象を濃く残してますね。

初めは本編とは印象も違う邂逅編に本編の高耶と直江が読みたいと思う頃もありましたが、邂逅編も確かに本編に続く原点であり、これはこれで面白いと思えました。

 

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真皓き残響 獅子喰らう

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2009年04月

幕末の京都でカゲトラと名乗る勤王派ばかりを狙う人斬りが現れた。
そのカゲトラに襲われた勤王派の晴家は、景虎を止めるため色部を捜すが、そこで長秀と再会し共に景虎を探しに行く事になる。
一方直江もカゲトラのうわさを聞き、景虎に会おうと京都の町を捜し始める。

他にももう一遍「獅子疾走る」も収録されています。
これを読んでいて何か違和感が・・・・・・景虎が直江より年上の時だってあったんですよね。
本編の蜃気楼を読んでいると、何だか不思議な感じがしました。

幕末の京都、もちろんこの時代好きです。
そこで勤王派と沙漠派に分かれる景虎達、邂逅編と違い夜叉集が崩れているのが分かります。
それでも最後の最後は他の真皓き残響に比べると、直江らしいなとしみじみ思いました。現代編に近いからでしょうか?

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真皓き残響 獅子燃える

おススメ度 8

集英社 コバルト文庫 2013年05月

「獅子燃える」
池田屋騒動での死者たちの怨霊化を懸念する景虎。
攘夷の志士らより恨みを買いそうな新選組に近づく景虎達に予想通り池田屋事件の死者が襲ってきた。
そして景虎はその怪異がある度に姿を見せる土佐弁を話す男を目撃していた。

「獅子燃える 決戦前夜」
怪異を起こしていた亀弥太より吉田稔麿がまだ怨霊として残っていると聞いた景虎達は、長州の久坂玄瑞の元へ潜入していた。
池田屋事件の際景虎が密告していたと疑っている晴家は景虎に詰め寄るが、長州の密偵の晴家は怨霊に出くわした時偶然に薩摩の西郷吉ノ助と出会い、怨霊胎児の協力を約束してしまう。
困った晴家は偶然出会った長秀と共同戦線を張り怨霊を追い詰めるが、その怨霊は御所へと逃げ去ってしまった。

「獅子燃える 露の命もて」
亡くなったはずの吉田松陰が久坂玄瑞の前に現れた。 動揺した山崎の陣へと戻った久坂玄瑞を追う景虎達だが、幕府の密偵と疑われ長州軍を追われる。
一方御所の近くでは攘夷怨霊が現れ、御所へと侵入しようとしていた。

この時代は好きなので、ラノベやマンガで色々読んだこの時代。
ただ佐幕とか攘夷とかはさっぱりです。読んでいるときは分かっているつもりになるのですが、時間がたてば全く覚えていません。
このあたりの動きが出てくるので、苦手な人もいるかなと思う一冊です。
ただ私は新選組や坂本竜馬が出てくるだけで熱くなります。

さて、邂逅編と同じく景虎と晴家の間に溝ができてますね。本当に現代の関係からは想像つかないというか何というか。

あと直江に手をあげる景虎がちょっと新鮮だったかも。今までなかったかな? この辺の会話、現代編への伏線っぽくていいですね。

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イルゲネス(上) The genetic Sodom Ilegene

おススメ度 5

マッグガーデン MagーGarden novels 2007年09月

遺伝子操作のクローンの売買が横行している島「誕生の島(イルゲネス)」
レイは元首フォン・フォーテンブラスに対し、何かに突き動かされるようにテロ活動を行う。

レイが偶然知り合ったのは、フォンが前政府を倒した革命の時の仲間ジェイクィズ・バーンだった。彼にフォンを狙うのをやめるよう説得されるが、レイには島の浄化が本能として組み込まれている人造体だった。

炎の蜃気楼を読んでからは、桑原さんの何を読んでもそれと比較してしまうので、どうしてもミラージュに比べると内容の濃さで劣っている気がしてしまいます。
がんばって、単体で見てみようと思うのだけどやはり無理です。

話はそれほど目新しい感じはしません、一時間ほどで一気に読めたので、読みやすいのは読みやすいと思います。
ミラージュの前に読んでいたら、また別の感想を持ったかもしれません。

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あ行 か行 さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行