井上ほのか 小説一覧

[都市戦記・妖魔アルディーン]
(1)(2)/香港五星家/香港魔界行/香港追弔歌(上)(下)

都市戦記・妖魔アルディーン

おススメ度 8

講談社 談社X文庫ティーンズハート 1991年01月

教育機関アカデミアの首席生徒の雨宮涼は、ネオ・ナリタの市長と面会するため乗り込んだヘリが墜落し、悪名高いネオ・ナリタの旧都市で暮らす少女真夜子に助けられた。
アカデミアでは一目置かれる存在だった涼は、全く自分を知らない真夜子との新鮮な生活から離れがたくなり、涼は旧市街で生活を始める。

だがある時、ネオ・ナリタでは知らないものはいない“アルディーン”にとり憑かれてしまう。
本来なら正気を失い殺戮者となるのだが、正気を保つことができた涼はアルディーンの呪力を使いネオ・ナリタ巣食う七賢人教団を相手に戦いを始める。

う~ん、簡単にあらすじをまとめてしまったのでナイトハンドの入る隙間がありませんでした。
七賢人に恨みを持つナイトハンドと共に涼は共闘するのですが、話はシリアスだし文章もシリアスなのになぜか二人の会話はコミカルに感じてすごく面白いんです。

初めて読んだとき、出だしを読んでいると近未来の学園ものかと思ったのですが、学園生活なんてほんの少ししかありません。

ティーンズハートという文庫なのでてっきり最後まで学園ものだろうと思って読み始めたので、こんな展開になるなんて予想もしていませんでした。
それをさらに裏切るのは香港編なのですが。

とにかくキャラクターが魅力的です。
涼、真夜子は純粋に好きだと思えるカップルですし、アルディーンとナイトハンドのちょっと変わった友情も好きです。
このナイトハンド、登場時は残酷な感じなのですが、なんだかんだでアルディーンに対してだけは世話焼きになってしまい、普通の人間なのでその視点からのアルディーンへの突っ込みがなんとも言えません。

持っていたティーンズハートはほとんど手放してしまったのですが、これだけは絶対に手放せない小説です。

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都市戦記・妖魔アルディーン(2)

おススメ度 8

講談社 談社X文庫ティーンズハート 1991年04月

以前共闘したナイトハンドこと富豪のナサニエル・ゴードンによりネオ・ナリタの工場が再開されたが、賢人教団が崩壊したことによって、新たにネオ・ナリタの旧都市の支配を企む犯罪組織が乗り込んできてしまった。

涼は再びネオ・ナリタに戻ってきたナイトハンドと共に、今の市街には不釣り合いな施設を作ろうとするトマス・ナルダンの身辺を探り始める。

そんな中アルディーンは妖艶な色香を持つ梨花に付け狙われてしまう。

ナイトハンドが保護者と化しています。
梨花に男として狙われるアルディーンを心配して助けに来たり、武器を貸そうとしてくれたり。
そしてアルディーンが行方不明になった時は冷静な判断すら出来なかったりと。

ナイトハンドが毛嫌いしている梨花。未成年相手に色々な手を使うのは問題がありますが、私は好きなキャラです。

とにかく敵は嫌い、アルディーン側は好き。
と、きっぱり別れるので、読後は爽快感があります。

梨花が強烈なせいか真夜子の印象が薄いのが残念ですね。次巻以降さらに薄くなるのですが。

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都市戦記・妖魔アルディーン(3)香港五星家

おススメ度 8

講談社 談社X文庫ティーンズハート 1992年11月

真夜子の手伝いとして香港の富豪レン・巧猿の取材を引き受けた涼だが、きれいなもの好きの巧猿によってそのまま香港へ連れ去られてしまう。

しかしその途中幽霊船に遭遇し、クリスタルを抱えた新界総督の息子ミハイル・几城を救出する。
戦闘のため破損した船が漂うのはレーテア騎士団、別名誘惑の騎士団の領海内だった。

無事香港に到着した涼は、そのままネオ・ナリタへは帰らず巧猿に協力し幽霊船の謎を探り始めた。

2巻までもティーンズハートらしからぬ展開でしたが、この香港編はさらにその上を行きます。
出す文庫を間違ったんじゃないかといまだに思います。

今回も相変わらずナイトハンドは保護者です。ぜひ読んでいただきたいので詳しく書きませんが、ナイトハンドがグラスの中身をふきそうになってむせ返るのもわかります。

そしてレーテア騎士団。
この設定がたまらく好きです。
騎士とエリュシオンという名の侍者の関係。癒しの力と破壊の力。個々の能力。
この集団だけで一冊の物語になるのではないかと思います。

そのレーテア騎士団のイグナチウスが出会った少年アーサー。
涼よりこっちの方が気になります、彼だよね?彼だよね?と気になって香港編は読みだすと止められませんでした。

そして涼をさらった巧猿ですが、なんだかんだで憎めない人です。その恋路は思わず応援したくなります。

ネオ・ナリタを離れた事と、レーテア騎士団がファンタジーっぽいので香港編は一気に雰囲気が変わります。
ネオ・ナリタ編もそれはそれで好きなのですが。

本当は五星家の存在意義、クリスタルの事など色々入り組んでいるのですが、私の読解力が足らず上手く説明できないのでスルーしました。すみません。

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都市戦記・妖魔アルディーン(3)[2]香港魔界行

おススメ度 8

講談社 談社X文庫ティーンズハート 1993年01月

魔を狩ることのできる今は所在不明の呪具仇魔刀を探す涼たちは、さらに仇魔刀から所持者を守るための3つの紅玉を探し始める。
そのうちの一つは梨花より手に入れることに成功する。

残りは双子のレーテア騎士団、エディランドとエリックが所有していた。

一方真夜子もさらわれた涼を探し香港へとやって来る。

1、2巻に比べ人物が入り乱れてきました。
エディランドはミハイル・几城と出会い、エリックは巧猿に協力する術士キュロスの元で働く少女亜香と出会います。

香港編は実は最初から敵が誰か書かれています。
涼たちはそれを知らないので空回りすることもありますが、逆に敵が意表を突かれることもありと、最初から敵がわかっていても楽しめます。

共通の敵がいるのに身内でも揉め事という、ある意味パターンの展開なので分厚い割にあまり話が進んでいる感じはしません。
ですが内容をじっくり読みたい人には向いている話かなと思います。

ちなみにこの巻のおすすめはナイトハンドと梨花のやり取りです。
ナイトハンドがかなりひどい男になってますが、梨花の一途さが好きです。

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都市戦記・妖魔アルディーン(3)[3]香港追弔歌

おススメ度 8

講談社 談社X文庫ティーンズハート 1995年04月

魔船の妖術士の騒ぎは一段落を終えたが、ミハイル・几城がエディランドのエリュシオンとなり、レーテア騎士団が居住するセイラ・テンプルへと連れ去ったため、呪法官の鈴仙児がミハイル・几城を助けるため影の獄の魔物を解き放とうとしていた。

しかしミハイル・几城は自らの意志で新界へと戻り、その企みは多くの犠牲を出すことなく終結する。

一方、レーテア騎士団を憎む傭兵のセリオスは、幽霊船を操っていた麗王が持つ闇のクリスタルによって特殊な力を持つ人鬼に変えられていた。

やっと久々に真夜子が活躍しますが、彼女が活躍するのはこの巻までなのが残念です。

この間は最終巻に向けての伏線が多く張られているので、ハラハラしながら次巻を読んだ覚えがあります。
またナイトハンドも仇魔刀の影響を受け、アルディーンと刃を交えることにもなります。
そして彼がレーテア騎士団を憎む理由。

“一度私を殺そうとしたことがある。”

の言葉通り、ナイトハンドにとってレーテア騎士団に殺されかけたことがあるからです。
もちろん実際に殺そうとしたわけではありません、その相手は七賢人に対する復讐心を忘れさせようとしたのです。
結局ナイトハンドはエリュシオンとして癒しの力だけを受け継いだのですが、普通に1~2巻目を読んだ時にその力を使った描写がなかった気がします。
香港編の涼の回想シーンで書かれたのですが、この辺後付かな?と思えるところです。
でも後付でも強引でも、あぁそうだったんだ!と思わせてくれるのなら問題ありません。
次巻は怒涛の展開です。

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都市戦記・妖魔アルディーン(3)[4]香港追弔歌

おススメ度 8

講談社 談社X文庫ティーンズハート 1995年05月

崩壊し始めた体を乗り換えるため、麗王はミハイル・几城の体を狙い元宵節の夜会を襲うが、少年がレーテアの感応者になっていたことに気付かず、その体を乗っ取ることはできなかった。

混乱する夜会の中、イグナチウスの破壊の力しか受け継げなかったエリュシオンのリューは、イグナチウスがアーサーと呼ぶナイトハンドと出会う。
しかしリューはナイトハンドが敵だと嘘をついてしまう。処刑されようとしていたナイトハンドの元へ向かうイグナチウスは、すでに脱出していたナイトハンドことアーサーと再会する。

一方新界に留まっていたレーテア騎士団の兄王レアルがセリオスの策により命を落としてしまい、更にセリオスに操られた亜香により、レーテア騎士団は混乱をきたしはじめた。

涼が目立たない。
ナイトハンドの方が主役に違いないのではないかと思う巻です。
でも少しアルディーンの謎に迫ってますね。

一度一段落しかけたに見えた展開が怒涛のごとくひっくり返されます。
長い香港編でしたが、色々な区切りが次々とやってきます。

読み終わってよく考えると、レーテア騎士団ってものすごく割を食っている感じがします。
香港側に振り回された挙句に、多大な犠牲も出してしまいますし。

そして待ちに待ったイグナチウスとナイトハンドの再会。
この時を待っていました。
むしろこの二人が気になって、涼側の印象が薄いんです。真夜子にしてもですが。
二度目にイグナチウスとナイトハンドがめぐり合う時のイグナチウスの変わり様など、どうして?と思うところもちょっとあります。
しかも最後のシーンもイグナチウス。
これで完結なんてなんだか悔しいです。まだまだ読み足りないと思う小説でした。

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あ行 か行 さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行