赤城毅 小説一覧

[帝都探偵物語]
黄泉に舞う蝶
麝香姫の恋文
隻眼の狼王
[魔大陸の鷹]
魔大陸の鷹/熱沙奇巌城/氷海の狼火/燃える地平線
[ノルマルク戦記]
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
[オフィス・ファントム]
(file 1) (file 2) (file 3)
有翼騎士団

黄泉に舞う蝶 帝都探偵物語

おススメ度8

光文社 Kappa novels 2008年06月

結核に冒された草伏和哉を献身的に介護する婚約者の佐緒里。
石母田村の権力者でもある草伏和哉は、死が迫った病のために、わらにもすがる思いで頼ったのは、中の見えない奇妙な鳥かごを持った丸木英明という理学博士だった。
しかし博士は和哉の死後、黄泉の国から呼び戻す事は出来るが、病を治すことは出来ないという。
不信感を募らせる佐緒里だが、和哉は生への欲求を抑えきれずに博士の話に乗ってしまう。
だが蘇った和也は丸木博士の言いなりになり、優しかった性格を一変させてしまった。

佐緒里の父、真木隆作はそんな和哉に取り入った丸木博士の正体を暴くため、探偵の木暮十三郎に依頼を持ちかける。

相変わらず悲しい事件です。草伏和哉みたいなタイプは大好きなので、最初に読み出したあたりで、今までのパターンを思うともう読むのが辛くて辛くて・・・
結核と言う当時は不治の病にかかり、それさえなければ愛する美しい婚約者と、自分を慕ってくれる村人達と幸せな時が送れていたかと思うと、もうたまりません。
本当に助けてあげたい!と思ってしまいます。そして和哉の最後の決断・・・・・・
好きな話なのですが、どうしても悲しい話、という余韻から抜け出せません。

 

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麝香姫の恋文

おススメ度7

講談社 講談社文庫 2008年01月

昭和8年、世間ではひたすら美しいものを狙う麝香姫の名が囁かれていた。
その予告状はうるわしい女文字でしたためられ、麝香の香りを封じ込めてることから「麝香姫の恋文」と呼ばれていた。

南海染色科学社長、神宮寺啓介の一人娘、真奈の誕生日と社交界のデビューを祝う宴が催されている中、そこに不似合いな風貌の一高教師の間宮諷四郎と、美貌の女性香月百合子は、神宮寺が長年の研究の結果成功させた、青い薔薇の花を頂くと麝香姫の予告状が届いた事を知る。

後日、厳戒態勢の中、神宮寺家で再開する諷四郎と百合子。
諷四郎は自らの推理により、先日の麝香姫の予告状が偽者であることばかりか、百合子が麝香姫であることまで見破る。

盗みに求めるものの確信をつく諷四郎の言葉に、甘い闘争心が沸く麝香姫。
彼に興味を抱いた麝香姫は、もう一度自分を任負かしてごらんと、諷四郎に挑戦する。
女怪盗と一高教師とのゲームが始まった。

物語は古ーーい印象。時代も古いし、言い回し古いし、人物設定も古い。
が、ここで引いてはいけません。確かに古い、と言う印象ですが、マイナス面だけではありません。
警視総監を父に持つ諷四郎、普段は上品な口調の美女だが、ひとたび麝香姫となれば自分を「ぼく」と呼び男言葉になる百合子、そして富豪の令嬢真奈。
一昔前に良く聞いたような設定だと思いながら、本当にそんな設定の本を読んでいるのか?話だけ聞いて読んでいる気になっているのではないのか?と思ってしまった作品でした。
パターンだから面白い、古いから逆に新しい。
何を盗むかと言うよりも、麝香姫が誰なのか?というよりも、それは早々にばれるのが意外で、面白いのは諷四郎と百合子の駆け引きです。

本当に諷四郎と百合子の性格がこの世界観とぴったりと合っていて、ものすごく爽快。この興奮は読まないと分かりません。
ただ、挿絵も少々古い感じで、それで手に取らない人もいるのではないでしょうか?赤城さんの他のシリーズを読んでらっしゃる方はともかく、初めて手に取る方の敷居が高そうで残念です。

昔の推理物と言うと金田一耕助などが出てくるのでしょうが、そのあたりのイメージですね。
2008年1に月に発売されているのは文庫版で、2004年10月に新書版が発売されています。
昭和初期が好きと言う方がいらっしゃったら是非ご一読を。

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隻眼の狼 時の剣

おススメ度7

光文社 光文社文庫 2008年09月

天下に知られる英傑宮本武蔵。彼は死の間際、親交のあった柳生兵庫助が頭を悩ませている十兵衛の事を、一介の剣士無斬祭之助に託す。

柳生十兵衛の元には怪老人の手で転魔が集いつつあり、その十兵衛は騒乱を起こすため、父を手にかける。以前より父が護衛にと付けていた柳生忍達は、尾張柳生の兵庫助に助けを求めに向かうが、彼らには怪老人骨噛無限祭が放った転魔達が襲い掛かかった。

次々と殺されていく忍びたちの中、一人残ったくノ一の織月も転魔に襲われていたが、そこに祭之助が助けに入る。

祭之助と八百年来の宿敵という怪老人骨噛無限祭、そして転魔を倒されたと聞き、柳生十兵衛自らも祭之助を追い、尾張柳生邸へとおもむく。
(※「噛」という字は本編と違います。)

話はすごいまともなのに、時々笑ってしまうのは無斬祭之助という名前のせいでしょうか。よくあるパターンで名を聞かれて答えたら、漢字は?と聞かれます。・・・・・・普通漢字まで聞くか?と妙なところで突っ込んでしまいました。

題名だけを見ると、柳生十兵衛が主人公かと思いましたが、十兵衛は敵。結構血も涙もない系ですが、それでも剣客のイメージを崩さないのは私の贔屓でしょうか?中学生の頃十兵衛様にはまっていましたので。

さて、主人公祭之助の元へは美貌のくノ一織月や、長年の宿敵骨噛無限祭などこれもまたパターンですね。
純粋な時代劇物ではなく、転魔のような魔物が出てくるのでちょっとファンタジーが入っている感じです。
でも、忍と転魔の戦いなどは読み応えがあり、赤城さんの独特の言い回し方は時代劇物にあってるなと感じました。

赤城さんの作品の中では、ちょっと笑える場面があっても、ノルマルクの様な真面目路線です。
多少古い感じの作品でしたが、昔の忍者物のマンガのような感じで、なかなか面白かったです。
新書では2004年11月に「隻眼の狼王」という題で発売されています。

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魔大陸の鷹 完全版

おススメ度6

祥伝社 Non novel 2005年10月

大正時代、子爵家の跡取りの伊集院従吾は、留学先での放蕩生活で財産をほぼ使い果たしてしていた。

ある時、考古学の知識と次元流の腕を見込まれ、苦手な叔父から成吉思汗(ジンギスカン)の墳墓より発見された、未知の金属板に書かれた「神器」を探すよう命ぜられる。

ところがその旅に評判の変わり者の博士大木戸と、欧州から追いかけてきたミレーユ、うっかり結婚の約束をしてしまっていた財閥のお転婆娘・爆裂弾早川巴とオールマイティなその執事「安藤」と旅をする羽目になってしまう。

以前に発売された3作を一つにまとめた完全版です。
旧版は1998年03月~1998年05月まで、それぞれ「吼える海流」「凍れる密林」「帝都最終決戦」で発売されていました。

一言で言うと、ミレーユと巴にはさまれながら旅を続ける冒険活劇ですね。

主人公の前に立ちはだかる暗闇公爵。昭和時代というか、一昔前に読んだような懐かしさがありました。

文章が独特な感じですが、読みやすいです。・・・・・・分厚いですけどね。
どちらかというと男性向けに感じ、「麝香姫の恋文」や「隻眼の狼」に比べると、印象はあっさりしています。冒険活劇の王道を読みたい方に。

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熱沙奇巌城 魔大陸の鷹シリーズ

おススメ度6

祥伝社 Non novel 2006年02月

未だ財政危機を乗り越えられない従吾は、役者に挑戦するも早々に失敗する。そんな時、大木戸博士にゴビ砂漠に眠っている伝説の「水晶宮」の発掘に誘われ、思案する中いつものメンバー、ミレーユ・巴に周りを固められ結局ゴビ砂漠を目指す羽目になる。

しかしゴビ砂漠には匪賊が跋扈し、赤色騎馬軍の剛将校ハズブラートフが行く手を遮る。
そして、人類殲滅を企む秘密結社の鉄仮面も姿を現した。

魔大陸の鷹の続きですが、前作の勢い衰える事無くテンションが続いています。前作のテンションが面白いと思った方にはおススメできると思います。

今回は巴がロボットのベンケイと大活躍します。その分主人公の影がより一層薄くなってますね。
前作と変わらずコミカルな感じもしますが、やはり「冒険活劇」という言葉がぴったりの小説です。

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氷海の狼火 魔大陸の鷹シリーズ

おススメ度6

祥伝社 Non novel 2006年09月

ゴビ砂漠の地下宮殿に隠された古代王国の秘宝、途方も無い力を持つという双魔玉のうち青い玉は手に入れたが、もう一つの赤い玉は鉄仮面に奪われてしまった。

北極海では突如新しい島が出現し、叔父に誘われるまま、連合艦隊が誇る最新鋭巡洋艦「黒姫」に乗り、いつものメンバーで極地を目指す伊集院従吾達。

しかし、その先には領土拡大を狙う米国の空母や戦闘機が立ちはだかり、秘密結社「アルビ騎士団」の仮面の教授プロフェッサー・ヌル、更にその上に君臨する謎の少年が現る。

北極海に突如新しい島、勝手なイメージですが何か古い印象をぬぐえません。ですが、好きな人にはたまらなく好きな展開ではないかと思います。
相変わらずのテンポで進みます、だだんだんと謎も解き明かされ最終巻へ突入です。

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燃える地平線 魔大陸の鷹シリーズ

おススメ度6

祥伝社 Non novel 2007年02月

双魔玉の二つは奪われたが、北極海で手に入れた天翔玉は何とか死守した従吾達。
大アマゾニアで異変が起きた頃、従吾達はインドのラマ・ラニ師より双魔玉の持つ恐ろしい力を伝えられる。

鉄仮面の教授、そして少年に憑依していた「暗闇公爵」。
人類に災厄をもたらそうとする彼らの野望を防ぐため、主人公達は大アマゾニアを目指す。

米軍の猛者、赤軍の剛腕将校も現れ、オールキャストが揃った、といった感じでしょうか。
従吾はパイロットとしての腕を遺憾無く発揮してくれます。

読み終わった感がやはり一昔前の感じで、好き嫌いが分かれるところではないかと思います。男の冒険譚という感じがします。
ただ他作品と比べ、その感じが決して嫌いではないのですが、冒険面が前面に出ていて、もう少しストーリー寄りの方が好みなので、他よりおすすめ度が若干低めです。
ただ赤城さんの作品は全体的に面白いので、それでも十分面白い部類に入ると思います。

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ノルマルク戦記 (1) 滅びの星の皇子

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年02月

滅びの星の下に生まれたノルマルク国第二皇子のユリアス・スウェンは、忌むべき存在とされ、幽閉されていた。
更に親友であり、隣国パルティスカの王、デミアンにより父が討ち取られ、ユリアスは父親の遺命により命を奪われかけるが、ノルマルクの希代の名称ルドルフ・パッシェンダールに助けられ、祖父であるトイトニア王の元へと亡命する。

滅びの星の運命を持つため、トイトニアとしてではなく、ノルマルクの旗の下、国の復興のため戦う事を決意するユリウス。
そして3年後、パッシェンダール、ユリウスを追うトイトニアの姫フィンレイ、フィンレイの従者シドゥとヴェリオルのギルゼンシュターン兄弟はノルマルクへと向かう。

今回は赤城さん独特の書き方は影を潜め、純粋なファンタジーです。途中の巻で泣きました。
ほぼ毎月刊行されたので続きが本当に楽しみで、とっても続きが気になる終わり方をしていました。(以前、別の文庫出版されていましたが、大人の事情により途中でストップしていたようです。この新装版によりちゃんと完結しています)

久々に壮大な話を読みました。世界観もそうですが、主人公の不幸な運命が話に奥行きを持たせています。本当にユリアスは辛い局面に立たされます。アルスラーン戦記のような超人はおらず(それでも強い人は強いですが)主人公も剣の腕はともかく普通の男の子です、どちらかと言うと情緒面では少々幼いかもしれません。
そしてそんな中戦い続け、成長していく様は読んでてやはり面白いです。

赤城さんは明治~昭和の話の人という印象が強いですが、ファンタジーも良いです。私が最初に読んだ赤城さんの小説がノルマルクだったからかもしれませんが、なので他の本を読んだときにびっくりしました。ストーリーは王道的で、特にひねられているわけではありませんが、そんな必要も感じられないくらいに面白かったです。読み出したら止まらないと思います。

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ノルマルク戦記 (2) 異端者たちの軍旗

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年02月

死んだと思われていたユリアスの兄ベルモンは、エルビオン国オンドネル王の元で生きていた。
強くて優しい兄、その兄からの手紙には軍勢を率いて陣営に来たれと書かれていた。
トイトニアの援助を断わったため、兵を持たないユリウス。兄の下へ馳せ参じるため協力者を求め旅立つが、味方となる事を申し出たのは、最下層の身分として長年虐げられ抑圧されてきた騎遊民(リトロイデ)だった。
彼らを受け入れたユリウスの下、史上初の騎遊民の軍隊が誕生した。
そして、ベルモンとユリアスはデミアンの軍勢と対峙する。

本格的に軍を整えつつあり、いよいよ戦記物という感じです。ユリアスだけではなく、敵側のデミアン方も書かれており、どちらにも感情移入してしまいます。
このパターンの小説を読むと、話が成り立たないのが分かっていても、どちらにも死なないで欲しいと思ってしまいます。しかしそう思わせる事が出来る小説こそ、私の中では印象に残る小説に分類されるのではないかと思います。
1、2巻目は同時に発売され、本屋でつい目を引かれ衝動買いしてしまったのですが、衝動買いした価値は十分にあると思います。
しかし、隠れた微妙な兄の態度など、この辺から主人公の行く末に暗い影を落としている感じがしました。

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ノルマルク戦記 (3) 罪と罰の迷宮

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年03月

ようやくユリアスは兄ベルモンと再会する。騎遊民へ報いるため恩典を願うユリアスだが、偏見を持つ人々の反対の声があり、兄に諌められてしまう。勝利を収めても、最下層の身分の騎遊民を率いるユリアスへの風当たりは変わらなかった。
一方、トイトニアではユリアスを迎えてくれた祖父が病死する。

その頃、デミアンは新しく迎えた軍師により、ある作を進言される。ユリアスを罠にかける卑怯なその作戦にデミアンはためらうが、勝利のためだと諌められ、最終的には決断する。
その罠により、ユリアスのパッシェンダールへの信頼は揺るぎ始めた。

この巻の最後で泣いてしまいました。
ユリアスは普通の少年のように悩み、信頼せねばならない人を疑ってしまった。悩むことなんて当たり前なのに、心から慕う兄の要請通り軍隊を組織し、誰も考えなかった最下層の騎遊民の協力を取り付け剣を手に勝利を収める。それがどこかユリアスを完璧人間のように見てしまい、そう思い込んでいたから、ユついリアスを責めてしまいました。
盲目に兄を慕い、あまりにも周りが見えなくなったユリアス。騎遊民を率いている時とまったく違う姿に、1巻で感じた幼さを感じました。

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ノルマルク戦記 (4) 寂寞たる栄光

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年04月

ユリアス軍に勝利し、勢力を伸張させたパルティスカに対しトイトニアは開戦を決意する。ノルマルク軍も動き出すが、危険の多い策に忠臣を失ったユリアスは唯々諾々と従う。
しかし彼を案じたフィンレイから、彼女に託されていた遺書を受け取り、ユリアスはもう一度戦う意志を固めた。

騎兵民の部隊が結成されるまで、馬に乗り、戦ってきたのは騎士の身分以上の者だった。しかしユリウス軍は一兵卒まで馬に乗り、巧みな馬術で密集した突撃を行う戦法を取る。それにより局地的敗北を味わわされたパルティスカはそれを封じる策を考え出す。

この巻を読むのは、ある事実を受け止めなければならなかったのでとても辛かったです。
彼の死、そしてそれを乗り越えたユリアス。乗り越えるまでのユリアスは本当に読んでいて痛々しかったです。それが伝わるのは赤城さんの文章の上手さでしょう。
他の本では騎兵のことをあんまり考えた事がなかったのですが、ノルマルクではそれが大きく注目されており、なるほどなと思いました。
フィンレイとの中も少しずつ進歩してますが、全体的に戦記物の印象が前面にあるため、恋愛面の要素は薄い感じがします。

 

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ノルマルク戦記 (5) 愛と哀しみの戦野

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年05月

勝利を収めても騎遊民を率いていると言うだけで、嫌悪する者達によりベルモンの弟にも係わらず不遇を受け続けるユリアス。

一方デミアンはベルモンではなくユリアスとの対決を望む。騎遊民に対抗し、帝国士族の精鋭を募り「竜騎兵」を組織し、史上初の騎兵同士の戦いが始まる。
そして兄ベルモンの不可解な命令や冠に隠された額には、ある隠された秘密があった。

そろそろ兄の正体が暴かれてきますが、ユリアスはそれでも一途に兄を信頼し続けます。
不遇の時代を送った幼い頃、自分に優しくしてくた兄が忘れられず妄信し、どんな忠告も受け入れず、どんな命令でも受け入れ、ひたすら兄を信じます。それがきっとユリアスの心の拠り所なのではないでしょうか。
パルティスカはユリアスの騎遊民に対して、貴族の中では下層に当たるが一応貴族なので馬に乗れる身分の帝国士族で「竜騎兵」を作ります。しかしこれがデミアンがどの身分の者を支持するかの決定的な分かれ目となります。
デミアンはあまり厚遇を受けない下層の身分とは言え、貴族の帝国士族を引き立てますが、ユリアスに対抗し最下層である騎遊民を引き立てることはしませんでした。この違いが運命を分けます。そのあたりのくだりが何ともいえない面白さがあり、たまらなく好きです。

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ノルマルク戦記 (6) 挽歌の彼方へ

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年08月

ユリアスは兄に疎まれ、疲労の中連戦を命じられる。デミアンは追撃を受け進退窮まるが、捕らえていたユリアスの姉ユーディトを盾にする作戦を拒絶し、正々堂々とユリアスを迎え撃つ。 ついにユリアスとデミアンの戦いが決着を迎えた。

そしてベルモンの戴冠式が執り行われるが、そこにユリウスの姿はなかった。

とうとうデミアンとの決着が付きました。一番の見せ場ですが、一番読みたくなかったところでもあります。親友と戦わねばならない主人公、王道のストーリーですがやはり面白い。
しかしどこでも書かれる話であるからこそ、それをまたか・・・・・・と思わせず読ませる文章力は重要だと思います。
兄ベルモンなど関係ない、ユリアスとデミアンの対決。
非情になりきれなかった親友のデミアン、そんな彼を愛したユーディト。パルティスカとの戦いは終わりを迎えます。
しかしここから本当の最後の戦いが始まります。

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ノルマルク戦記 (7) 滅びの星輝くとき

おススメ度 8

集英社 スーパーダッシュ文庫 2006年08月

残されたデミアンの部下は、死の間際にデミアンと結ばれたユーディトに忠誠を誓い、兄ベルモンの真意を知ったユーディトは彼らと共にユリアスの元へと向かう。
一方、ベルモンとの会見に臨むべく数名の仲間とロスランへ向かうユリアス。
兄の手の者に命を狙われ、犠牲を払いながらも何とか切り抜けた一行は、ついにベルモンと対峙する。

完結です。こんなに面白い本が途中で止まっていたなんて、大人の事情があるんでしょうけど読者としては悲しい限りです。
新装版が出てなかったら今頃この本を読んですらいなかったので、複雑なのですが。
過酷な運命を延々と歩んできたユリアスの道は、ここで終わりを迎えます。あれほど信頼し、慕っていた兄の仕打ち。楽な戦いなどなく、最後までぎりぎりの戦いを続けました。最後の宣言は素晴らしかったです。
こういう終わり方だからこそ、印象に残るのでしょうね。
どちらかというと、戦いや出来事より主人公に多少重心が傾いていたかなと思います。本当に久々に刊行が待ち遠しい作品でした。

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オフィス・ファントム file 1 史上最大の誘拐

おススメ度 6

祥伝社 Non novel 2007年06月

総理が誘拐された。
犯人の新人議員により国会は血の海となる。警視庁の手を逃れ、逃亡する犯人。在日米軍の全面撤退を要求するその背景には転生解放教団が関わっていた。

警察の捜査が行き詰る中、草間率いる『オフィス・ファントム』が解明に乗り出す。

『オフィス・ファントム』の一員、バービーのごときプロポーションを持つ美女、双神絵里子ことカラミティ・エリコ。そして疫病神を背負ってるかのごとく運の悪さを誇るが、サバイバル能力に長ける大学生、水無川拓朗は総理救出へと向かう。

読んでいて、薬師寺涼子の事件簿を思い出しました。
違うところは、こちらの拓朗の方がちょっと情けなくて不運所でしょうか。
あのノリが好きな方は面白いのではないかと思います。

さんの独特な文章で書かれています。時々大仰な言い回し方になるので、これには好き嫌いがあるので仕方ないかもしれません。
帝都探偵物語の文章を、設定を現代風にしてあっさりした感じです。ただ、帝都探偵物語の方が面白いです。

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オフィス・ファントム File2 史上最悪の奪還

おススメ度 6

祥伝社 Non novel 2007年11月

インド洋に派遣された海上自衛隊のミサイル護衛艦「しらぬい」の乗組員が食事の用意などそのままで忽然姿を消した。

草間の旧知、服部警視監からの要請もあり『オフィス・ファントム』は調査に乗り出す。捜査を進めるうち多国籍企業『マキシモス』へとたどり着く。

今回は、本編と関係ないところで大爆笑しました。
寡黙な服部と上司の川黒警視総監との会話が最高です。
あんなばかばかしい会話をしなければならない服部さんに同情します。

そのせいかキャラの性格のせいか、『マキシモス』という巨大な組織が霞んで見えてしまいました。
事件なども真相は?と気にはなるのですが。

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オフィス・ファントム File3 史上最強の要塞

おススメ度 6

祥伝社 Non novel 2008年02月

警察官などが姿を消す事件が続く北海道登武呂市。
そこで行方不明のノーベル賞級学者、関野哲也の姿が目撃された。
彼の捜査の依頼を受け、水無川拓朗は一人登武呂市へと向かうがあっさりと捕まる。その市は「クツワ」グループにより支配されていた。

相変わらず拓朗が救われないです。
パターンはいつもと変わらないのですが、他作品と比べ少し人物に入りにくいと感じてしまいます。

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有翼騎士団 完全版

おススメ度 9

祥伝社 Non novel 2007年09月

1889年、ベルリンの町をサムライが駆ける。
そのサムライ、印南光太郎はれっきとした帝国陸軍少尉だったが、決闘三連戦のため免官届を出していた。
途中ドイツにおいて差別を受けていたポーランド人の少年、エウフェミアを助ける。

決闘には難なく勝利したが、遅れてやってきた立会人、東洋人の血が入っていると思われるフランス軍少将、ギョーム・ド・サン=ペリエ。その男の強さを感じ、勝負を挑むが完敗する。

助けた少年に宿を借りることになった光太郎だが、そこにロシアの秘密警察オフラーナが襲い掛かって来た。

エウフェミアがポーランドの王家、ピアスト家の令嬢であると知った光太郎は、彼女を守るべく剣を振るう。
そして彼女に従うポーランド軍の勇の象徴となる有翼騎士団(フサリア)のタデク、オフラーナを追ってきた天然理心流の剣を使うサン=ペリエ少将も加わり、氷の侯爵との対決が始まる。

面白ろい。光太郎は今時の主人公といった感じではなく、一昔前の熱血漢タイプだが私は好きです。時々鬱陶しいくらいの熱血漢がいますが、光太郎はその線を越えず、本当に私の中の主人公というイメージをドンピシャで突いてきました。
ヒロインも守られるだけではなく芯が通っており、好感が持てます。
そしてなんといってもギョーム・ド・サン=ペリエ。あえて名前は出しませんでしたが、天然理心流でわかる人はわかるのではないでしょうか。

展開などそれほど凝っているわけではありませんが、一つ一つの出来事をドキドキしながら読めました。
展開をたとえるなら80年代のアニメのような感じでしょうか。

もともと全3巻のを一冊にまとめた完全版なので、少し分厚いです。旧版を持っていましたが、思わず完全版も買ってしまいました。
赤城さんの中でも1、2を争うくらい好きな作品です。

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あ行 か行 さ行た行な行は行ま行や行ら行わ行